2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白山 晋 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10322067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高藤 圭一郎 西日本工業大学, 工学部, 教授 (10461485)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 特殊航空機 / 回転翼 / 空力性能評価 / 発射台 / 可視化装置 / 行動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
防災時の上空監視や地質計測,さらには惑星探査のために超小型航空機(MAV)が開発されているが,その機構が複雑になるに従い正確に動作しないという危険性が指摘されている.本研究では推進系や電子制御系を有さず,機構が単純な竹とんぼを応用した探査機の開発を行う.このために,①発射台の構築と飛行実験時のデータ取得技術の確立,②低レイノルズ数領域での既存翼形状の評価と選択,および竹とんぼの飛翔体としての性能評価手法の確立,③熟練者のノウハウの設計知識化の3つのサブテーマを設定し,各研究内容の相互関係を鑑みながら研究を逐行した. H28年度において,①では,安定した回転数での飛行を可能にするための発射台を製作した.主要な部品は,3DCADと3Dプリンターを用いて作成している.また,3DCADと3Dプリンターを用いて竹とんぼ型の飛翔体を作成し,射出実験を行った.さらに2台のUSBカメラとコンピュータビジョンを利用して飛翔体の位置を時系列で把握できる計測システムを構築した.加えて,竹とんぼまわりの流れを可視化するためのいくつかの装置を作成した.②では,レイノルズ数が数千から数万の範囲で,系統的に2次元翼まわりの流れの計算を行い,時空間データを端的に表現する分析手法を提案した.その手法により,異なる翼型,異なる物理パラメータでの時空間での流れ場の比較が可能になると考えられる.③では,視線計測分析やビデオ映像からの行動分析を通して熟練者が持つノウハウの知識情報化を行うための方法論について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した3つのサブテーマ:①発射台の構築と飛行実験時のデータ取得技術の確立,②低レイノルズ数領域での既存翼形状の評価と選択,および竹とんぼの飛翔体としての性能評価手法の確立,③熟練者のノウハウの設計知識化に関して,それぞれの進捗は以下の通りである. ①では,3DCADと3Dプリンターを援用し,4種類の発射台を製作した.また,2台のUSBカメラとコンピュータビジョンを利用した飛翔体の位置計測システムを開発し,原理的に追跡可能であることを示した.さらに,竹とんぼまわりの流れを可視化するためのいくつかの装置を作成した.②では,既存の翼形状に対して流れの計算を行った.当初予定していた竹とんぼの飛翔体としての性能評価手法の確立には至らなかった.しかしながら,次年度に予定していた,異なる翼型,異なる物理パラメータでの時空間での流れ場の比較を可能とする時空間データの類似する部分を顕在化する手法の開発ができた.これにより多方面から低レイノルズ数領域での既存翼形状の評価が可能になると考えられる.③では,熟練者が作成した竹とんぼ形状の分析を行う予定であったが,計測機器が購入できなかったため,次年度に予定していた,視線計測分析やビデオ映像からの行動分析を通した熟練者が持つノウハウの知識情報化を行うための方法論について検討できた. 当該年度の予定と次年度の予定が入れ替わったが,全体としてみると,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,設定した3つのサブテーマ:①発射台の構築と飛行実験時のデータ取得技術の確立,②低レイノルズ数領域での既存翼形状の評価と選択,および竹とんぼの飛翔体としての性能評価手法の確立,③熟練者のノウハウの設計知識化に従い,各研究内容の相互関係を鑑みながら研究を逐行する.ただし,②と③に関しては,当初計画の順序を入れ替える.また,予算の関係で計算機資源の確保が難しく,当初予定していた竹とんぼまわりの3次元流体計算を簡易的なものとする.この点を補うために,平成28年度に構築した,竹とんぼまわりの流れを可視化するためのいくつかの装置の高機能化や,平成28年度に提案した,流れの時空間データを端的に表現する分析手法の高度化を試みる.また,発射台をより高度なものとし,流体シミュレーションを①で実施する飛行実験に置き換える.最後に,3つのサブテーマから得られた成果に基づき,射出型探査機の可能性についてまとめる.
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