2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K14503
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 浩一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90375121)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レーザー推進 / マイクロ伝熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、炭素繊維型エネルギー変換機の実験研究を進めることができた。炭素繊維が絡み合って構成される多孔質体を用いてレーザー光のエネルギーを吸収させ、多孔質体内部を流れる気体流を対流伝熱により加熱する。この多孔質体はporosityが99%以上と、非常にsparseな構造を有し、さらに繊維サイズがマイクロメートルオーダーであるため、高速流を効率良く加熱することに適しており、多孔質超音速流のレーザーデトネーション波の生成が可能であると考えている。また、本研究の成果は、これまでに研究例の少ない、3000K以上の高温のマイクロ・ガス伝熱の現象を明らかにする貴重な知見を与える。予備実験の結果、4kWのファイバーレーザーを用いて、ヘリウムガスを常温から最大1500K程度まで加熱できることが示された。加熱の効率は20%程度であり、そのエネルギー損失機構としては、高温になる多孔質体からの輻射が大きな割合を占めていることがわかってきた。さらに、その輻射のスペクトルから、ガスの温度は1500K程度であるが、多孔質体の温度は3000K程度に達していることがわかり、多孔質内部で局所熱非平衡(LNTE)状態の発生が確認できた。 現在は亜音速流の加熱実験を行っているので、レーザーデトネーション波の生成までには至っていないが、この加熱原理を用いることで外部加熱型ロケットエンジンを構築できるという着想を得ており、その概念ならびに関連する予備実験の状況を10件の学会発表(うち1件は招待講演、4件は国際会議)で発表し、3件の学術誌論文(日本航空宇宙学会)に掲載が決定済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は亜音速流の加熱実験を行っているので、レーザーデトネーション波の生成までには至っていないが、この加熱原理を用いることで外部加熱型ロケットエンジンを構築できるという着想を得ており、その構想ならびに予備実験の状況を5件の学会発表(うち2件は国際会議)で発表し、一件の学術誌論文(日本航空宇宙学会)に掲載が決定済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでの実験により得られた知見を説明するための理論の整備が最優先課題である。非常に単純化されたマクロな熱伝達モデルの予測に比べて、多孔質体の熱伝達率がかなり低いことがわかっている。モデル化の精度を高めると共に、予備的な実験を追加し、多孔質体からの輻射・再吸収のメカニズム、マイクロスケールにおけるガスの熱伝達を説明する数値解析を行い、現象の解明を進める。
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