2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14523
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平島 剛 九州大学, 工学研究院, 教授 (00175556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 資源処理 / 廃蛍光管 / 自動識別 / レアアース |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,世界のレアアース供給国である中国は,国内産業の高度化を目指すため,レアアースの生産及び輸出管理を強化しており,世界各国でレアアース供給の不安定化が懸念されている。蛍光管には,蛍光体としてレアアースを使用した種類があるので,廃蛍光管から高純度にレアアースを回収できれば,我が国のレアアース資源の安定確保に貢献できることが予想される。本研究では,UV光照射によりレアアースを使用した蛍光管,AE(Acoustic Emission)センサによりプラスチック製被覆を有する蛍光管を識別するソフトウェアの精度向上,電界によるガラス管内部の導電性被膜の有無を識別する機能の追加,プラスチック製被覆の剥離法,蛍光粉回収のためのガラス管切断法を検討することを目的に研究を行った。以下に,平成28年度に実施した研究成果について述べる。 ・プラスチック製被覆の有無を識別する際,プラスチックの経年変化等により識別誤差を生じていたが,従来の線形関数を用いた識別アルゴリズムよりも識別精度の向上が見込まれる非線形判別法の一つであるニューラルネットワークを導入するためのプログラムを作成した。 ・電界中に置かれた蛍光管が,導電性被膜の有無により,発光状態が異なることを見出していたが,蛍光管の発光状態の観察に,従来のカメラで撮影した画像よりも室内の明るさ等の外乱の影響を受けにくいフォトトランジスタを用いた方法に変更した。さらに,導電性の有無を識別する際,電界を発生するテスラコイルと蛍光管の適切な位置関係を明らかにした。 ・リニアスライダーを用いて,ガラス管を覆うプラスチック製被覆を剥離する雛形装置を試作した。さらに,集光型赤外線ヒーターを用いて,蛍光粉回収のため,蛍光管両端のガラス管を切断する雛形装置を試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,計画していたUV光照射によりレアアースを使用した蛍光管,AEセンサによりプラスチック製被覆を有する蛍光管を識別するソフトウェアの精度向上を目指したニューラルネットワークアルゴリズムの導入,電界によるガラス管内部の導電性被膜の有無を識別する機能の追加及びテスラコイルと蛍光管の適切な位置関係の検討,プラスチック製被覆の剥離,蛍光粉回収のためのガラス管切断の雛型装置を試作することができ,研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光管には,飛散防止用の被覆や昆虫が集まるのを防ぐUV光吸収被覆で覆われたものがある。UV吸収被覆で覆われた蛍光管は,UV光を照射しても蛍光管内部にUV光が届かないため,レアアースを使用した三波長蛍光管と使用していない白色蛍光管の識別ができない。また,レアアース粉回収のためにガラス管両端を切断する際,発生するガラス粉が不純物となるため,被覆を自動で剥離し,ガラス粉の発生の少ない装置の開発が望まれている。平成29年度は,平成28年度の知見をもとに,プラスチック剥離及びガラス管切法を検討し,不純物の混入の少ない装置の開発を目指す。以下に,平成29年度の研究の推進方策について述べる。 ・試作した雛型装置をもとに,プラスチック製被覆を自動で剥離する装置及び不純物となるガラス粉の発生しにくいガラス管を切断する装置を作製する。 ・回収した全種類の蛍光管を用いて,UV光照射,AEセンサ,フォトレジスタ等の複数のセンサを用いた識別機能を有する実験装置の選別実験を行い,本装置の有効性を検討する。 ・選別試験の分析結果をもとに,蛍光管及びガラス等の有価資源を自動で高純度に完全分離回収するための各機能の最適な条件を検討する。 ・レアアースリサイクルの推進による循環社会を推進するためのシステムつくりを検討する。
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