2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of a diagnostic method for the intactness of concrete piers by energy-resolved auto-radiography
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16K14536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神野 郁夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (50234167)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 橋梁の健全性 / オートラジオグラフィ / カリウム / 画像化 / ガラス線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の被ばく管理に用いているガラスバッジに内臓されたガラス線量計で,カリウム-40 (K-40)から放出される1.5MeVのガンマ線の測定を試みた.このために,内側寸法20x20x20cmのアクリル容器を製作し,ここにKClの粉末を充填した.容器材料は厚さ1cmのアクリルである.K-40からは1.5MeVのガンマ線のほかに,最大1.3MeVのベータ線も放出される.ガラス線量計に付与されたエネルギーがベータ線によるものではないことを担保するため,まず,GM計数管とSr-90標準線源をもちい,その間に厚さ1cmのアクリルを挿入して計数率を測定した.Sr-90線源からは,最大2.2MeVのベータ線が放出されるが,厚さ1cmのアクリルを挿入した場合,バックグラウンドと同じ計数であることを確認した. 次に,K-40のガンマ線によるエネルギー付与とガラス線量計の計数値の関係を評価するため,ガラス線量計を5枚一組とし,照射期間を1週間から3か月まで変化させた.ガラス線量計の読み値は,照射期間と比例しており,これからガンマ線数とガラス線量計の出力が比例することが確認できた. その後,K-40容器の水平方向にガラス線量計を配置し,ガンマ線強度の位置分布の測定を行った.位置一点につき,ガラス線量計を5枚重ねて測定を行った.この結果,幅20cmのKCl領域の中で,中心から左右8cm程度の範囲で,一定のガンマ線強度を有することが確認できた.また,イメージプレートをKCl容器表面に貼り,3週間照射を行った.測定結果により,ガラス線量計による測定と同様に,ガンマ線のほぼ一様分布が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガンマ線の数とガラス線量計の出力値との関係を測定する際には,ガラス線量計をピンセットでビニール袋に入れ,ビニール袋をKCl容器に貼り付けた.次に,KCl容器の横方向のガンマ線分布を測定する際に,1点にガラス線量計を5枚重ねて配置した.このためにゴム手袋をはめ,ガラス線量計を5枚,台所用のラップフィルムでまとめた.この測定結果は,ばらついた.同様の測定を3回,繰り返したが,どれもばらついた値を示した. この原因がすぐにはわからなかったが,ガラス線量計を汚れから防ぐために使っていたゴム手袋が,逆に汚染の原因となっていたことが判明した.同様に,ラップフィルムにも粘着成分があるため,ガラス線量計にとっての汚れが付着することが分かった. これらの汚れを避けるため,ゴム手袋をやめ,布製の手袋を装着した.また,5枚のガラス線量計をひとまとめにするために,ラップフィルムを止め,薬包紙,またアルミフォイルを用いた.このような注意を払うことで,ガラス線量計の汚染がなくなり,KCl容器の水平方向に一定の読み値を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
容器内をすべてKClで満たした状態で,容器の水平方向のガンマ線分布のほぼ一様性が確認できた.今後は,KCl容器内部に直径10mmの鉄棒を挿入し,鉄棒の有無でガラス線量計の読み値が変化するか,を確認する.また,鉄棒の挿入位置を容器の内壁から1,2,3cmと変化させ,読み値の敏感性を測定する. 同様の測定をイメージプレートを用いて測定する.イメージプレートおよびそのリーダーは,当該研究に興味を持つ研究者に協力を求める. ガラス線量計,およびイメージプレートを用いた測定を,コリメータ厚さを変えて行う.コリメータ厚さ依存の測定値から,コリメータ無しで測定した場合の読み値から,鉄棒の有無,また位置を再現するためのアルゴリズムを構築する.
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Causes of Carryover |
ガラス線量計のためのコリメータとして,鉛板を用いていたが,鉛は柔らかく,不都合な点が多かった.そこで,タングステン合金でコリメータを製作し,ガラス線量計を効率よく出し入れすることを考案した. しかし,タングステン合金コリメータの見積もりが業者から来なかったため,製作ができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タングステン合金コリメータは,40万円ほどになることが判明したため,コリメータの枠組みを真鍮で製作し,真鍮の外側に鉛板を貼る形式のコリメータとすることとした.
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