2016 Fiscal Year Research-status Report
核医学利用のためのラジウムおよび壊変核種を閉じ込める配位子の創成
Project/Area Number |
16K14537
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉村 崇 大阪大学, ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (90323336)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ラジウム / キレート |
Outline of Annual Research Achievements |
2環型のキレート配位子となるビスサイクレン型の配位子(bcyclen)の合成のために、サイクレンの窒素部位の幾つかを保護した。続いて、この化合物と1,3-ジブロモプロパンとの反応により、2分子を橋架けした化合物を合成した。その後、保護していた部位を脱保護してbcyclenを合成した。ラジウムと同族でイオン半径が近い+2価のバリウムを用いて、バリウムと当量のbcyclenを水中で反応させたところ、固体が得られた。蛍光X線分析により、この固体にはバリウムが含まれていることを確認した。また、IRスペクトルによりキレート配位子と対イオンの過塩素酸イオンが固体中に含まれていることを確認した。このことから、バリウムにbcyclenが配位した化合物が生成しているものと判断した。2つ目の方法として、サイクレンよりもキレート環を大きくした単環型のキレート配位子を合成するために、キレート環としてジアザ-18-クラウンエーテル(N2-18-crown)を用いた。N2-18-crownと当量のバリウムとの水中での反応においても、固体が得られた。蛍光X線分析およびIRスペクトル測定により、この固体には、バリウム、配位子、および対イオンとなる過塩素酸イオンが含まれていることが確認できたことから、配位子がバリウムをキレートした化合物が生成していると判断した。ピリジルカルボン酸基は比較的安定に金属イオンに結合可能と考えられるため、N2-18-crownにピリジルカルボン酸基を導入しするための前駆体を合成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キレート配位子の合成およびラジウムとの反応検討のための予備実験となるラジウムと同族でイオン半径が近い安定核種であるバリウムとキレート配位子との反応についての研究を行ったことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、合成したキレート配位子とラジウムとの反応を行う予定である。また、単環型配位子の合成をさらに進めるとともに2環型配位子についても、より安定にラジウムをキレートするよう環の窒素部位にさらにピリジンカルボン酸基等からなるアーム部位を設けることを考えている。
|
Causes of Carryover |
今年度、購入予定であった機器は、既存機器使用で対応可能と判断したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
配位子合成のために、エバポレータを頻繁に使用する必要が生じたため、エバポレータの循環冷却装置、トラップ等の設備機器購入費用に当てる。
|