2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental study on shortening the decay time of long-lived beta decay nuclides
Project/Area Number |
16K14540
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷口 良一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60155215)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ベータ崩壊 / 短寿命化 |
Outline of Annual Research Achievements |
半減期が1000億年の超長寿命の天然ベータ崩壊核種La-138の放射線照射を行った。長寿命ベータ崩壊核種は核を励起すれば、寿命が劇的に短縮されるという可能性が指摘されており、Cs-137の除染を念頭に、短寿命化の可能性を検討した。 [分析法] La試料のγ線測定と解析を行った。その結果、La試料のバックグランドは極めて特徴的で、Ac系列の放射線が圧倒的であることが明らかとなった。通常はU系列、Th系列が圧倒的で、Ac系列は痕跡程度である。これはLaの精製過程で生じたものと考えられた。以下の実験では、この現象を利用して、Ac系列からの放射線を基準としてLaからの放射線の増減を評価した。その結果、0.1%程度の増減が評価可能となった。 [Co-60照射] La金属50gのCo-60γ線照射を空気中で行った。線量は280kGyに達した。その結果、照射線量に対応した減少が観測され、最終的にベータ崩壊は1%程度減少した。この照射は水中での爆発の危険性が指摘され、空気中の照射に変更したものである。そのため、次に試料を酸化ランタンの粉末20gに変更しCo-60γ線で水中照射した。この照射は500kGyの線量に達したが、ベータ崩壊の減少は測定限界以下であった。 [X線照射] La金属10gを電子線形加速器のX線で照射した。電子線のエネルギーは6~8MeVであった。タングステンターゲットの直後に試料を設置し、2時間半の照射を行った。その結果、照射に対応して最終的に4%程度の減少が観測された。照射線量ではCo-60の空気中照射と同程度であるが、減少量は数倍になっている。 3種類の実験の結果、La金属の照射では、僅かながらベータ崩壊の減少が観測されたが、酸化ランタンの照射では、現時点でも減少は確認されていない。これらの実験結果から見ても未知の要素が多く、その解明のため実験は今後とも継続する必要がある。
|
Research Products
(4 results)