2016 Fiscal Year Research-status Report
小脳全域のプルキンエ細胞特異的CRISPR/Cas9スクリーニング系の確立
Project/Area Number |
16K14553
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 貴樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (90749798)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / 登上線維 / CRISPR/Cas9 / シナプス / シナプス刈り込み |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、CRISPR/Cas9を用いてマウス小脳全域のプルキンエ細胞特異的に特定の遺伝子をノックアウトし、登上線維のシナプス刈り込みに関わる分子のスクリーニング系の確立を目的とする。RNA干渉によるノックダウン法と比較して、ノックアウトによるより正確な表現型の解析や小脳全域の異常によって誘発される行動の解析を実現することを目指している。本年度は、マウス小脳全域のプルキンエ細胞にCRISPR/Cas9 系を導入するために、子宮内ウイルスインジェクションまたは子宮内エレクトロポレーションを用いて、小脳全域への導入効率が高いウイルス・プラスミドコンストラクション・プラスミド導入時期・刺激条件等を検討した。ゲノム編集によるノックアウト効率を高めるため1遺伝子に対して3箇所をターゲットとしたレンチウイルス用・エレクトロポレーション用のベクターを構築した。従来のSpCas9に加えて、オフターゲットを抑えるためにeSpCas9(Slaymaker et al., 2016)を発現するベクターも作製した。プラスミド導入時期は胎生期E10, E11, E12を試験し、子宮内エレクトロポレーションは2点電極による小脳の左右両側導入と3点電極による両側導入を試みた。その結果、全般的に子宮内ウイルスインジェクションと比較して、子宮内エレクトロポレーションによるプラスミド導入効率が高く、現在のところ、2点電極により2種のプラスミドベクターをE11にエレクトロポレーションした条件が最も効率よく小脳全域にCRISPR/Cas9 系を導入できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、子宮内ウイルスインジェクション法を主体に実験系を確立しようと計画していたが、予想以上にプラスミド導入効率が低いことが判明し、子宮内エレクトロポレーションを追加で試験することになった。本年度は、この後者の手法によりマウス小脳全域のプルキンエ細胞にCRISPR/Cas9 系を導入することに成功した。しかし、ゲノム編集効率や電気生理学的解析によって登上線維のシナプス刈り込みへの影響を調べることまでが目標であったため、やや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、この手法においてゲノム編集効率を調べ、登上線維のシナプス刈り込みに関わる分子をノックアウトして電気生理学的解析を行い、従来行われていたRNAiノックダウン法と表現型を比較する。さらに、小脳における遺伝子変異によって運動異常もしくは精神疾患様行動が誘発されることが知られる既知の特定遺伝子をノックアウトして、この実験系によりそのような行動解析が可能かを検討する。
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