2016 Fiscal Year Research-status Report
超解像イメージングによる神経細胞のシナプスマッピング
Project/Area Number |
16K14568
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今井 猛 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (70509851)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超解像顕微鏡 / シナプス / スパイン / コネクトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独自に開発した組織透明化法SeeDB2と超解像顕微鏡を組み合わせたアプローチにより、神経細胞の全体に亘ってシナプス分布を解析するためのパイプラインを確立した。実際にこの手法を用いて大脳皮質体性感覚野5層錐体細胞におけるスパイン分布(=興奮性シナプス)の解析を行った。その結果、スパインは樹状突起全体に亘って一様に分布しているわけではなく、大きな偏りを持って分布していることが判明した。5層錐体細胞においては、basal dendriteでは大きな偏りが見られないものの、apical dendriteでは分布が大きく偏っており、第一分岐点付近で最も分布密度が高くなることが判明した。また、oblique dendriteについては、突起内での分布の偏りはないものの、oblique dendriteがapical dendriteのどの部位から伸びているかによって平均スパイン密度が異なっており、その傾向はapical dendriteと一致することが判明した。このような傾向は2/3層錐体細胞では見られないことが判明した。 次にこのような分布が病態モデルでどのように変化するかを解析した。具体的には、NMDAR必須サブユニットNR1のノックアウトニューロンにおいてスパイン分布を解析した。その結果、5層錐体細胞に特徴的なスパイン密度分布が消失することが判明した。さらに発達段階におけるスパイン密度分布の予備的解析を行ったところ、幼若期には明瞭な密度バイアスは見られず、発達過程で特徴的なスパイン密度分布が形成される可能性が示唆された。今後この点についてより詳細で定量的な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験については予定通り完了できたが、海外研究者からの指摘により、発達過程におけるシナプス分布変動についても新たに定量解析を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、発達過程におけるシナプス密度分布の解析をすすめ、統計解析を行う予定である。これらのデータを合わせて論文投稿予定である。
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Causes of Carryover |
本研究はMeng-Tsen Ke研究員と連携しながら進めていたが、Ke研究員がH28年10月までH29年1月までライフイベントによる休暇をとることになったため、研究が中断することとなった。また、海外研究者からの指摘により、発達過程のシナプス除去の可能性についても新たに定量解析を行う必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発達期におけるシナプス分布変化について解析を続けるとともに、研究成果の論文発表を行う。
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