2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14575
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手塚 徹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50312319)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経筋接合部 / 神経筋疾患 / 神経筋シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
神経筋接合部(NMJ)は運動神経の軸索末端と骨格筋を結ぶ、運動機能に不可欠のシナプスであり、その異常は先天性筋無力症候群(CMS)や重症筋無力症に代表される筋無力症の原因となる。さらに、近年、筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症などの難治性の神経筋疾患や加齢性筋肉減少症においても、NMJ形成不全の重要性が注目されている。従って、多様な神経筋疾患に対し、NMJ形成を標的とした治療技術の有用性が期待されている。NMJの形成や維持は筋特異的な受容体型チロシンキナーゼMuSKによって制御されている。代表者の所属研究室では、MuSKの必須の活性化因子Dok-7をAAVベクターを用いて強制発現させることにより、マウスのNMJ形成を増強する手法を開発した。さらに、ある種のCMSや筋ジストロフィーのモデルマウスに対し、当該手法の効果(NMJ形成の増強、運動機能の改善、生存期間の延長)を実証してきた。本年度、代表者らは、ALSのモデルマウスに対しても、当該手法が有効であることを見出し、当該手法が筋原性疾患のみでなく、運動神経原性の神経筋疾患にも広く有効である可能性を示した。他方、NMJ形成・維持において、MuSKにはDok-7とは別に、運動神経由来のMuSK活性化因子Agrinが必須である。代表者らはAgrinがDok-7では代替できない、MuSK活性化以外の機能を持ち、その機能が生後のNMJ維持に必須であることを発見し、上述のDok-7強制発現によるNMJ形成増強法では賄えない原理でAgrinの発現増強はNMJ形成を増強できる可能性とその重要性に思い至った。そこで、本研究では、AAVベクターを用いたAgrin発現系の構築と、神経筋疾患モデルマウスに対する当該ベクターの投与実験を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMJ形成増強効果を示すAgrin発現系の構築が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の神経筋疾患モデルマウスを用いて、Agrin発現AAVベクターの有効性を検討する。
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Research Products
(3 results)