2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14579
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
疋田 貴俊 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (70421378)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大脳基底核 / 統合失調症 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は複数の遺伝要因と環境要因の相互作用によって発症する複雑性疾患であり、非常に異種性の高い症候群としての性質を持つ。そのため、共通した神経生理学的指標として確立しているプレパルスインヒビションに着目し、その神経回路機構の解明を目指している。また、遺伝-環境相互作用によって行動異常を示す統合失調症モデルマウスのプレパルスインヒビション低下に関連する神経回路の制御異常と分子病態を調べ、さらには同定した特定神経回路の制御によってプレパルスインヒビションの正常化、ひいては社会性低下などの行動異常の是正を試みることによって、統合失調症の神経回路に着目した病態解明と治療法開発につなげることを目的としている。 本研究の目的であるプレパルスインヒビションの神経回路機構を同定するために、まずはプレパルスインヒビション低下を引き起こす統合失調症モデルマウスの確立を目指した。複数の統合失調症遺伝モデルマウスに対して、環境要因として思春期における社会的孤立ストレスを加えることでプレパルスインヒビション低下を見いだした。また統合失調症の薬剤誘導モデルとしてよく使われているNMDA受容体拮抗薬であるMK801の全身投与によりプレパルスインヒビション低下を誘導できた。これにたいして、大脳基底核神経回路のうち側坐核の直接路と間接路のそれぞれに特異的な可逆的神経伝達阻止法を用いて、神経回路機構を調べたが影響を与えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の統合失調症遺伝モデルマウスに対して、環境要因として思春期における社会的孤立ストレスを加えることでプレパルスインヒビション低下を見いだし、プレパルスインヒビション機構における遺伝-環境相互作用を同定した。今後は、プレパルスインヒビションに関連する神経回路の同定を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
可逆的神経伝達法を背側線条体にも適用し、プレパルスインヒビションの神経回路機構を探る。他の神経回路制御法も検討する。統合失調症モデルマウスの神経回路異常と分子病態を解析し、プレパルスインヒビション低下の原因を探る。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに執行できており、1万円以下の端数を次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品購入に充てる。
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Research Products
(36 results)