2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neuronal circuit mechanisms in prepulse inhibition
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16K14579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
疋田 貴俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (70421378)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 大脳皮質前頭野 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は複数の遺伝要因と環境要因の相互作用によって発症する複雑性疾患であり、非常に異種性の高い疾患群としての性質を持つ。そのため、共通した神経生理学的指標として確立しているプレパルスインヒビションに着目し、その分子・回路機構の解明を目的とした。 マイクロRNAは遺伝子発現を制御するsmall non-coding RNAである。その一つであるマイクロRNA124-1(miR-124-1)は脳に広く発現しており、miR-124-1のノックアウトマウスは脳の発生に大きく影響を与える。ヒトのmiR-124-1遺伝子は染色体8p23.1領域に位置し、染色体8p23.1領域のハプロ不全は、統合失調症をはじめとする精神疾患との関連が報告されている。そのため、miR-124-1+/-マウスを精神疾患遺伝モデルマウスとして、プレパルスインヒビションをはじめとした行動を観察した。miR-124-1+/-マウスは社会的相互作用の低下、メタンフェタミン誘導行動量の増大に加えて、プレパルスインヒビションの低下が見られた。このプレパルスインヒビションの低下は大脳皮質前頭野へのmiR-124の遺伝子導入によって部分的にレスキューされた。miR-124-1+/-マウスの大脳皮質前頭野では、ドーパミンD2受容体mRNA発現量の増加、第5層錐体神経細胞の興奮製および抑制性シナプス伝達、D2シグナルの増幅が確認された。そこでshRNAによるD2受容体のノックダウンをmiR-124-1+/-マウスの大脳皮質前頭野に行うと、プレパルスインヒビションの有意な改善が見られた。これらからmiR-124-1+/-マウスのプレパルスインヒビションの低下にはD2受容体を介したドーパミンシグナルの関与が示唆された。
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