2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a mice having simian immune systems-Establishment of a new animal model for analysis of pathogenesis in viral infection
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16K14593
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊吹 謙太郎 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00273524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 智行 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (40202337)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実験動物モデル / ウイルス感染症 / サル骨髄造血幹細胞移植 / 免疫不全マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はサル化マウスのAIDS病態解明研究への利用について検討するために、サル個体に慢性感染するT細胞指向性分子クローンのSIVmac239と、急性腸管症状をサル個体に引き起こし、より致死性が高い強病原性SIV分子クローンであるSIVPBjの2種類のSIVをサル化マウスに接種しその感染病態について比較した。SIVmac239接種及びSIVPBj接種マウスの全頭で、ウイルス接種1週目より血漿中でSIVRNAが検出され、末梢血においてもSIVDNAが検出された。また、SIVmac239接種マウスにおいては、感染後9~10週目に剖検を行い、小腸を除く組織(脳・肺・脾・胸腺・子宮・腸間膜リンパ節・大腸)においてSIV DNAを認めた。一方、SIVPBj接種マウスでは、ウイルス接種後2週目までに1匹が死亡し、他のマウスでも毛並みの悪化、運動能力の低下などSIVmac239接種マウスでは認められなかった状態の悪化が観察された。剖検後、小腸も含めて全ての組織でSIV DNAが検出できた。さらに、これらのマウスでは小腸で絨毛の短縮化とパネート細胞の減少、結腸においても腸管内腔の平坦化および杯細胞の増加などの組織学的変化が確認された。このような腸管における病理組織学的変化はSIVmac239株接種マウスでは認められなかった。 以上から、サル化マウスはサル個体同様にSIV株毎の病原性の違いを反映できる可能性が示唆された。今後、SIVPBj接種マウスでの症状の悪化の原因並びにその機序についてウイルス側・宿主側の両面から調査し詳細を明らかにするとともに、サル化マウスのAIDS研究における新規実験動物モデルとしてのさらなる有用性を検討していきたい。
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