2016 Fiscal Year Research-status Report
エクソソーム標識ラットを用いた胎児期、乳幼児期における発育との関連解析
Project/Area Number |
16K14601
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
吉村 文 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 科研費研究員 (90466483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エクソソーム / 羊水 / 母乳 / トランスジェニックラット |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞間コミュニケーションの媒体として注目されるエクソソームについて、これまでin vivoでの移行が未解析であった母乳エクソソームの新生児体内への移行および羊水エクソソームの胎児発育との関係性について研究を行う。 本研究の特徴は、エクソソーム可視化トランスジェニックラットを用いることにある。体液由来のエクソソームを可視化させる場合、蛍光色素でマーキングすることが一般的であるが、それらは脂質親和性を利用した染色であるため、エクソソーム以外の脂質分子も染色してしまう。われわれのグループでは、エクソソームマーカーであるCD63タンパク質にGFPを融合させた遺伝子を発現するラットを作成しており、エクソソームの可視化・識別を行っている。 本研究では、トランスジェニックラット母親の母乳を飲ませた野生型新生児の小腸をサンプリングし、作成した切片におけるエクソソームの取り込みについて、蛍光観察に加えて免疫染色による解析も行った。しかし、今回の実験方法では母乳由来と思われるエクソソームを検出できなかった。羊水エクソソームについては、野生型妊娠ラットから回収した羊水エクソソームの胎児組織への取り込み実験(in vitro)と、羊水エクソソーム由来microRNAの網羅的解析を行うための予備実験を実施した。羊水に含まれるエクソソームの量は少ないことが予想されたため、最初は蛍光色素による染色ではあったが、羊水エクソソームの胎児組織への取り込みが観察された。microRNAに関しては、条件検討の結果、解析に必要な羊水の量やエクソソームからのmicroRNA抽出方法を決定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に計画した研究のうち、母乳エクソソームおよび羊水エクソソームの取り込み実験は行えたが、母乳エクソソームのin vivoでのシグナル検出ができなかった。そのため、解析方法を新たに検討する必要性があり、当初の計画よりも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
母乳エクソソームの新生児における取り込みを検出するためには、一度エクソソームを母乳から分離し、濃縮したエクソソームを摂取させて解析を試みることにする。エクソソームはトランスジェニックラットのを用いるが、蛍光色素による標識も行い、CD63-GFPとの局在を観察し、エクソソームとそれ以外の分子の移行経路を比較する。取り込みが確認できた場合は、その培養細胞を準備し検証する。 羊水エクソソームのmicroRNAについては、条件が定まったので、解析に必要なサンプルを用意し、microRNAの網羅的解析から得た情報を基に機能予測を行う。また、羊水エクソソームの取り込み実験に関しては、異なる組織の細胞(胎児由来)を複数用意し、取り込み率と細胞の増殖や形態などへの影響について検証する。
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Causes of Carryover |
初年度に計画していたmicroRNAの受託解析の前に、microRNAの品質チェックや必要なサンプル量の推量など条件検討を行う必要性があった。そのため、本解析については次年度に行うこととし、その分の予算を次年度に計上する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
microRNAの受託解析に使用する。
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