2016 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍丸ごとイメージングによる腫瘍微小環境の1細胞解析
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16K14608
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安永 桂一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20534572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 癌 / 抗腫瘍免疫 / 血管 / 組織透明化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、主として近年急速に発展した組織透明化技術、顕微鏡イメージングを免疫組織染色、薬理学的解析と融合させることにより、腫瘍微小環境における細胞間相互作用の分子・細胞メカニズムを明らかにすることである。そのために、種々の透明化技術による効率的な腫瘍透明化方法を検討している。平成28年度では、この目的を達成するために、透明化方法と癌細胞株に関する2つのアプローチをおこなった。腫瘍微小環境の中に存在する癌関連繊維芽細胞、免疫系細胞、血管網を3次元的に可視化するためには、腫瘍深部の蛍光シグナルを高感度に検出する必要がある。そこで、マウス皮下腫瘍の透明化におけるCUBIC法、SeeDB法、uDISCO法を比較検討した。その結果、CUBIC法を使用することにより比較的効率的な観察が可能であることが分かった。次に、細胞種による透明化効率の違いについて検討するために、異なる組織由来の癌細胞株を比較検討した。この実験では、大腸癌由来癌細胞、肺癌由来癌細胞、乳癌由来癌細胞からなる皮下腫瘍と同所性モデルを比較した。その結果、大腸癌細胞と肺癌細胞に由来する皮下腫瘍は、2ミリメートル程度の深部まで蛍光シグナルを検出することができた。一方、乳癌細胞の同所性モデルでは、数100マイクロメートル程度の蛍光シグナルを検出するにとどまった。この結果により、次年度の研究を効率的に進めることができる担癌マウスモデルを選別することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標を達成するためには、腫瘍の効率的な透明化方法と3次元イメージング方法を見出すことが、とりわけ必須である。しかし、実際に様々な条件のもと組織透明化を試行すると、腫瘍の透明化は正常組織に比べて非効率であることが判明した。これは、腫瘍内では細胞が極めて高密度に分布していることが原因なのかもしれない。本年度の組織透明化方法と癌細胞株に対する比較検討により、観察可能な担癌モデルマウスを選別することができたため、次年度の計画を進めることが可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において見出した透明化皮下腫瘍のモデルを用いて、癌細胞、癌関連線維芽細胞、免疫系細胞、血管網の分布を可視化する。そのために、ノックインマウス系統を利用することと個々の細胞種に特異的な抗体による免疫染色をおこなう。さらに、HVJ-Eを利用した癌治療モデルを使って、治療の前後でこれらの細胞群の分布がどのように変化するかを明らかにすることにより、治療効率を高める方法を探していく。
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Research Products
(1 results)