2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K14620
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
八尾 良司 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞生物部, 部長 (80291095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸がんオルガノイド / 一細胞解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
分化形質が異なる様々な細胞種から構成される大腸がん組織では、その細胞多様性により治療抵抗性が生じ、がん化学療法の確立を困難にする要因の一つとなっている。本申請課題では、ヒト大腸がんの手術検体から3次元培養法により樹立されたオルガノイドが、生体組織の細胞多様性および階層性を再現することに着目し、1細胞解析を行い、細胞多様性を明らかにする。さらに、ゲノム編集法を用いた幹細胞の可視化や、cell-ablation実験により一細胞解析のインフォマティクスにより得られた情報を細胞生物学的に実証する。 平成29年度は、平成28年度に行われた大腸がんオルガノイドの1細胞遺伝子発現解析のインフォマティクス解析を行なった。具体的には、Filtering、Gene ceilingなどの前処理の後、t-SNE やMDSを用いてdimesional reductionを行い、クラスタリングを行なった。さらに各クラスターを構成する細胞集団の発現遺伝子について、すでに正常消化管組織や大腸がんで報告されている幹細胞マーカーや分化マーカーなどの遺伝子群をマップし、作製されたクラスタリングの妥当性を検討した。 一細胞解析のバイオインフォマティクスの実証実験を行うために、効率的なオルガノイドのゲノム編集法を確立した。さらにこの手法を用いて細胞可視化と誘導的な自殺遺伝子の挿入が可能なドナーベクターを作製した。作製されたベクターは、エレクトロポレーションによりオルガノイドに導入し、遺伝子改変効率を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な手法を用いたバイオインフォマティクスにより作製されたクラスタリングは、既知のマーカー遺伝子の発現パターンと照らし合わせても信頼性が高いと考えられた。さらに、新たなゲノム編集の手法を用いることにより、効率的な遺伝子改変が可能であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
各クラスターを構成する遺伝子群について、ナレッジデーターベースの検索を行い、細胞増殖や分化をはじめとする様々な生物学的機能を詳細に検討し細胞集団の特性を明らかにする。さらにクラスターに特徴的なマーカー遺伝子を情報科学的手法により検索する。その結果、一つのマーカー遺伝子で細胞集団を規定することができるクラスターについては、ゲノム編集により可視化とcell-ablation実験を行う遺伝子改変を行い、細胞多様性および階層性に関する実証実験を行う。また、単一マーカー遺伝子では難しい場合には、造腫瘍性や転移能などの特徴的な特性をもつ細胞集団を単離・回収し、さらに詳細な遺伝子発現解析を行い、細胞特性とクラスターとの関連性を明らかにすることにより、がん組織を構成する多様な細胞集団の生物学的特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 1細胞解析を新学術領域先端ゲノム解析研究推進プラットフォームの支援を受けたため。 (使用計画) ゲノム編集により作製された遺伝子改変オルガノイドを用いた、実証試験の精度を向上させる。さらに、その結果に基づき、遺伝子発現情報の追加取得を行い、詳細な解析を行う。
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Research Products
(8 results)