2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性中皮腫におけるVEGF非依存性の新規血管新生因子の探索
Project/Area Number |
16K14626
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
江口 良二 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00461088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 血管新生 / 悪性中皮腫 / VEGF / granulin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では平成28年度までに、中皮腫細胞株NCI-H2052(H2052と略称)に対して無血清培養を行い、その培養上清を3次元血管モデルに添加した実験を行った結果、H2052の無血清培養上清によって血管新生が誘導されること、また、その血管新生は抗VEGF抗体による抗中和実験および血管内皮細胞に存在するVEGF受容体に対するRNA干渉を行った実験では抑制されなかったことを見出した。これらの実験結果から、H2052細胞が分泌する血管新生因子はVEGF非依存性であることを明らかにし、さらに、H2052細胞の無血清培養上清に対してLC-MS/MSを用いたショットガン解析を行い、399個のタンパク質を平成28年度までに同定した。平成28年度では、この399個のタンパク質の中から血管新生に直接関与する報告のあるinterleukin-8(IL-8)、growth-regulated α-protein、midkine、IL-18、IL-6、hepatoma-derived growth factor、clusterinおよびgranulinの8つのタンパク質に焦点を当て、中和抗体およびRNA干渉を用いた実験を行った。その結果、granulinが悪性中皮腫由来のVEGF非依存性の新規血管新生因子であることが判明した。granulinはprogranulinという前駆体の形で分泌されることが知られており、このprogranulinは他の中皮腫細胞株でもH2052細胞以上に発現していた。さらに、H2052細胞ではprogranulinとは異なるgranulin関連タンパク質も悪性中皮腫由来のVEGF非依存性の血管新生に関与することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性中皮腫におけるVEGF非依存性の血管新生因子を特定するまでの研究結果を論文投稿し、平成28年度中に受理された。この受理された論文内容は挑戦的萌芽研究に申請した際の初年度の研究計画を完全に遂行した結果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、granulinに対する抗中和抗体療法の基礎を確立する。
|
Causes of Carryover |
平成28年度では試薬・消耗品のほとんどが予算使用予定であったが、悪性中皮腫由来の血管新生因子の特定が予定より早くできたため、予算の執行を留めることができた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度では本研究で悪性中皮腫の血管新生因子として新たに特定されたgranulinの抗中和抗体療法の基礎を構築するためにgranulinの抗原特定を研究目標に予算を使用する。
|
Research Products
(5 results)