2016 Fiscal Year Research-status Report
グアニン4重鎖(G4)結合蛋白質を用いた機能的G4構造探索・制御技術の開発
Project/Area Number |
16K14645
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
新本 美智枝 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (20216237)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | グアニン4重鎖 / Rif1 / G4結合ドメイン / HEATドメイン / 染色体高次構造 / 多量体化 / FANCJ / DHX36 |
Outline of Annual Research Achievements |
グアニン4重鎖(G4)構造は代表的な非B型DNA 構造でありヒトゲノム上に37万カ所以上も存在すると推定されているが、実際それがゲノム上にどのように分布し、どのような生物学的な意義を有するかは未知である。本研究では、代表的な非B 型DNA 構造であるグアニン4重鎖構造を細胞内で網羅的に探索する新規な方法を開発し、ゲノム上での機能的グアニン4重鎖構造のプロファイル及び細胞内での局在を明らかにする。このために、まず分裂酵母と動物細胞のRif1のG4結合ドメインを限定した。 分裂酵母Rif1については、1) C末端90アミノ酸のみで多量体化(8, 16量体化)できる。2) N末端444のアミノ酸(1-444; HEAT repeat構造)もG4と結合できるが、特異性および親和性が低い。3) C端に近い保存配列を変異すると、DNA結合能が大きく低下するとともに、8, 16量体化形成能が喪失した。4) 転写によりRif1BS(Rif1結合配列)上に形成されるG4構造にも、Rif1は結合できる。 動物細胞Rif1は、1) C端およびN端HEAT domain構造は、両者ともG4構造に特異的に結合する。2) 中央に存在する天然変性タンパク質ドメインにはDNA結合能は存在しない。3) 全長Rif1タンパク質のG4構造への親和性は、C端、N端ポリペプチドより1000倍くらい高い。 また、両者に共通な性質として、Rif1は一度に複数のG4に結合する能力を有する。また、Rif1はパラレル型のG4に高い親和性を有するが、アンチパラレル型のG4、テロメア由来のG4に対する親和性は低い。また、N端よりC端のほうがG4への特異性が高い。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rif1タンパク質のG4結合ドメインを限定することができた。またin vitroにおけるこれらのドメインのG4結合の特異性を確認できた。C端のG4結合ドメインは200アミノ酸ほどに限定できたので、これを用いて細胞内におけるChIP-seq解析に進める段階に到達できた。 しかし、DHX36およびFANCJのクローニングが難航したので、タンパク質発現の段階に到達することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後DHX36, FANCJ, 最近大腸菌から見出した新規G4結合タンパク質のG4結合ドメインを限定する。これらのドメインおよびRif1のN端とC端ペプチドをもちいて、分裂酵母においてChIP-seqを行い、細胞内G4部位との相関関係を解析する。
|
Causes of Carryover |
一部実験が予定どおり進行しなかったため、購入予定のタンパク質精製試薬の購入をしなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、DHX36やFANCJ など、単離に成功していないcDNAのcloningを再トライするために、単離済みのcDNAの購入およびタンパク質精製試薬の購入に使用する予定である。
|
Remarks |
ゲノム動態プロジェクトHP URL:http://www.igakuken.or.jp/genome/
|