2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K14648
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新田 剛 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (30373343)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子多様性 / 免疫学 / ゲノム / プロテアソーム / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロテアソーム遺伝子の多様性がCD8 T細胞の抗原認識レパトアや免疫応答、および免疫関連疾患の感受性に影響を及ぼす可能性を検証する。 PSMB11遺伝子のdamaging variationのうち、構造予測アルゴリズムおよび培養細胞を用いた生化学実験によって機能に影響を与えることが示された3種類(G49S, S80fs, A208T)を対象として、ノックインマウスを作製し、表現型を解析した。いずれのvariationも、胸腺でのCD8 T細胞の分化が阻害されていた。MHCクラスI/ペプチド複合体に対するモノクローナル抗体を用いた解析により、これらのマウスでは胸腺上皮細胞におけるMHCクラスI結合ペプチドの変化していることが示された。これらの結果から、G49S, S80fs, A208Tはいずれも機能欠損型であることが示唆された。 日本人に多くみられるG49S variation(アレル頻度3%)に注目し、次世代シークエンシングによるTCRレパトア解析を行った。その結果、G49Sマウスでは、TCRレパトアの一部が失われ、個体間のTCRの差異が増加していることがわかった。さらに、代表的なTCRをクローニングしてレトロジェニックマウスを作製し、G49S variationによる影響が再現されることを確認した。 また、G49S variationと疾患との関連を調べるため、高地雄太博士(理化学研究所)、住田孝之博士(筑波大学)、山本一彦博士(東京大学)との共同研究により、自己免疫疾患および腫瘍との関連解析を行った。その結果、G49S variationのホモ接合とシェーグレン症候群の発症との間に有意な関連が認められた(Odds ratio 7.15, P=0.00089)。その他の疾患(関節リウマチ、自己免疫性筋炎、腫瘍)に対しては有意な関連はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PSMB11遺伝子のdamaging variationを導入した3種類のノックインマウス(G49S, S80fs, A208T)の表現型解析を、当初の予定通りに完了した。これらのvariationは、胸腺上皮細胞におけるMHCクラスI結合ペプチドの変化と、CD8 T細胞の分化低下を示し、機能欠損型であることが明らかになった。 また、モデルマウスを用いたTCRレパトア解析法を確立し、これを用いてG49SマウスにおけるTCRレパトア変容を定量的に解析した。G49SマウスではTCRレパトアの一部が失われ、個体間のTCRの差異が増加していることがわかった。さらに、代表的なTCRをクローニングしてレトロジェニックマウスを作製し、G49S variationによる影響が再現されることを確認した。これらはPsmb11の作用機序および正の選択の動作原理の解明につながる成果であるとともに、他のプロテアソーム遺伝子variationの生理的意義を調べるための基盤技術として重要である。 ヒト疾患との関連解析においては、G49S variationのホモ接合とシェーグレン症候群の発症との間に有意な関連が認められた。G49S variationがシェーグレン症候群を引き起こすメカニズムは未だ不明である。シェーグレン症候群のマウスモデルを用いたG49S variationによる発症促進メカニズムの解明、およびヒトでのHLAハプロタイプとの相関などが今後の課題である。 以上の成果により、プロテアソーム遺伝子の多様性がCD8 T細胞のレパトア選択と自己免疫疾患の感受性を変化させることを明らかにし、研究目的の大部分を達成することができた。CD8 T細胞レパトアと自己免疫疾患の因果関係や、プロテアソーム分子構造への影響の解明、PSMB11以外のプロテアソーム遺伝子についての検証などが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
G49S variationとシェーグレン症候群の関係について、モデルマウスを用いて発症促進メカニズムの解明をめざす。先行研究において、CD8 T細胞の一部が免疫応答制御機能をもち、Th17細胞のはたらきを抑えることでシェーグレン様自己免疫を抑制するとの報告がある。G49Sマウスにおける制御性CD8 T細胞の分化と機能について調べる必要がある。また、シェーグレン症候群のマウスモデルである抗原タンパク質投与やRORgt-TgマウスにおけるG49S variationの影響を精査する。 G49S以外のPSMB11 damaging variation導入マウス(S80fs,A208T)について、G49Sと同様のTCRレパトア変化がみられるかどうかを検証するため、次世代シークエンスによるTCRレパトア解析、およびレトロジェニックマウス作製によるTCR再構成実験を行う。また、海外のヒト検体を扱う研究者との共同研究、またはゲノムデータベースの活用によって、PSMB11のdamaging variationと自己免疫疾患との関連を調査する。 PSMB8 (b5i)とPSMB9 (b1i)のdamaging variationについても、ノックインマウスを作製し表現型解析を行う。予備実験としてこれらの遺伝子欠損マウスを作製し解析を進めている。Psmb9 (b1i)欠損マウスでは、Psmb11 (b5t)のプロテアソームへの組み込みが阻害されるため、Psmb11 (b5t)欠損マウスとよく似たCD8 T細胞の減少を呈することが明らかとなっている。Damaging variationを導入したマウスにおいて同様の表現型がみられるか精査するとともに、TCRレパトア解析や疾患モデル解析を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] LOX Fails to Substitute for RANKL in Osteoclastogenesis.2017
Author(s)
2.Tsukasaki M, Hamada K, Okamoto K, Nagashima K, Terashima A, Komatsu N, Win S, Okamura T, Nitta T, Yasuda H, Penninger JM, Takayanagi H
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Journal Title
Journal of Bone and Mineral Research
Volume: 32
Pages: 434-439
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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