2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new transformation method of Bacillus subtilis with chemically modified DNA
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16K14657
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柘植 謙爾 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命准教授 (70399690)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | OGAB法 / 形質転換 / 遺伝子集積 / 枯草菌 / 長鎖DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
枯草菌の長鎖DNA形質転換への適応性を一段と高めるべく、化学修飾した基質DNAと、人工的に改変した枯草菌宿主の組み合わせにより、基質となる長鎖DNAの取り込み開始位置を指定することにより、DNAを断片の末端から無駄なく取り込むという新規形質転換系を確立をめざし、平成28年度は以下の研究を行った。 「宿主枯草菌のComEAタンパク質の改変」 宿主枯草菌のDNA取り込み装置タンパク質の一つであるComEAのDNA結合ドメインを除去し、代わりに単量体アビジンタンパク質を融合した改変ComEAを有する組換え枯草菌を作製した。この枯草菌に、通常のDNA断片を形質転換しても、ComEAのDNA結合ドメインの欠損により、形質転換できないことを確認した。 「末端をビオチン化した基質DNAの形質転換」 次に薬剤耐性遺伝子をコードするDNAの末端をビオチン修飾した評価用化学DNAをPCRにより準備した。これをコンピテントセルに与えることで、改変ComEAのアビジンドメインにビオチン修飾したDNAが捕捉されることで形質転換が進み、薬剤耐性を持つ形質転換体を得ることが可能かどうかを検証した。しかしながら、薬剤耐性を示す菌株は得られなかった。考えられる原因として、アビジンドメインがビオチン修飾したDNAを十分に結合していない可能性が考えられた。 「他のDNA取り込みタンパク質の融合」 アビジンタンパク質がComEAとうまく融合できていないことで、目的が達成されていないことが考えられるので、アビジンに変えて、他のDNA結合たんぱく質としてラムダファージのCIリプレッサータンパク質を融合したComEAタンパク質遺伝子を構築し、枯草菌に導入した。CIリプレッサータンパク質が認識するDNA配列を取り込めば成功であるが、現在のところまだそのような能力は確認されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が新しい研究機関に移動し、新規研究室のセットアップ、新規遺伝子組換え実験の申請に半年以上という多大な時間がかかり、実際の実験開始が遅れたことが主たる要因である。遺伝子組換えの系については、平成28年度第4四半期に研究環境の整備に伴い予定された組換え体をほぼ構築したが、これらの構築株の評価を十分に行う時間がなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい研究機関での研究環境が整ったため、上述の遅れを取り戻すべく、平成29年度は以下の計画で取り組みたい。 「化学修飾DNAの結合の観察」 上述のビオチン化DNAが枯草菌表層に提示されているであろう、ComEAとアビジンの融合タンパク質に捕捉されているかどうかを、DNAを蛍光標識して顕微鏡で直接的に観察することで、DNAが細胞には捕捉されているのか、いないのかを確定する。 「トランスポゾンライブラリーから得られた候補タンパク質の最適化」 アビジンドメインをトランスポゾン中に組み込み、枯草菌ゲノムにランダムに組み込んだライブラリーを作成し、ビオチン標識したDNAを取り込むようになった株をスクリーニングする。その株のトランスポゾン組み込み位置を確認し、どのような融合タンパク質を作ることが良いのかを検証する。 「ComEAタンパク質のDNA結合ドメインの他の生物由来の配列への交換」 他の生物由来のComEA相当タンパク質のDNA結合ドメインを導入することで、改変ComEAタンパク質を作成し、枯草菌に特定のDNA配列からのDNA取り込みが移植可能かどうかを検証する。 「他生物DNA結合ドメインを持つComEAタンパク質のメチル化シトシンDNAへの結合能の検証」 他生物由来のDNA結合ドメインをもつ組換えComEAタンパク質にメチル化メチル化シトシン(Me-C)になっている場合に、改変したComEAタンパク質に結合能があるかどうかを検証する。仮になければ、基質DNAの末端近傍に上述のメチル化していない通常のシトシン残基を含むタンパク質結合モチーフ配列を持ち、かつ内部のDNA配列中のC残基を全てMe-C残基に変換したDNAをPCRにより作成し、これを基質DNAとして、改変ComEAタンパク質を持つ枯草菌のDNA末端のメチル化されていないC残基から基質DNAが形質転換されるかを検証する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の研究機関の異動により、新規に研究室を立ち上げ、新規に遺伝子組換え申請を行わなければならなかった。そのため、実際の研究開始に半年程度の遅れが出たことが主たる要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度中に行えなかった、作成した枯草菌の組換え体株の化学DNA結合性を確認するために、顕微鏡による観察を始めに行う。この際、枯草菌の形質転換において害を与えないDNA蛍光標識化合物を選定してから行う。その他は、当初の計画通りに進める。
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