2016 Fiscal Year Research-status Report
絶滅危惧種の生体外モデル「Body on a Chip」の開発
Project/Area Number |
16K14660
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀井 謙一郎 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点准教授 (00588262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 義和 京都大学, 工学研究科, 助教 (40452271)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 絶滅危惧種 / iPS細胞 / リプログラミング / Body on a Chip / マイクロ流体デバイス / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、絶滅危惧種に効果的な薬剤や治療法を開発するために、絶滅危惧種iPS細胞の作製と、それを用いた生体モデル「Body on a Chip」の開発が目的である。本研究を達成するために以下の実験項目を掲げる。A. 絶滅危惧種iPS細胞の作製B. マイクロ流体デバイスを用いた絶滅危惧種iPS細胞から組織細胞への分化誘導法の開発 C. 絶滅危惧種iPS細胞由来分化細胞を導入した「Body on a Chip」の開発 A. 絶滅危惧種iPS細胞の作製: 現在絶滅危惧種を含めた5種の動物から得られた細胞を使用する。作製の際には、絶滅危惧種の遺伝子を得ることが困難であるため、代わりにヒトのリプログラミング遺伝子(OCT4, SOX2, KLF4, L-MYC, LIN28 及びp53 shRNA)を使用した。これらの遺伝子は種を超えて保存されており、実際にはゴリラの体細胞をヒトの遺伝子でリプログラミングしiPS細胞を作製した報告もある。遺伝子導入には、外来遺伝子がゲノムに挿入される危険性の少ない方法(エピソーマルベクター法やmRNA導入法など)を使用している。得られた細胞を確認するために、幹細胞マーカーの発現の確認(遺伝子発現解析、フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー発現解析、など)、細胞増殖能の確認、分化能の確認(生体外における胚様体形成試験、免疫不全マウスへの移植による奇形腫形成試験)、核型試験(Gバンド分染法、FISH解析法)、などを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
絶滅危惧種iPS細胞の作製: 現在絶滅危惧種を含めた5種の動物から得られた線維芽細胞を使用し、それにヒトiPS細胞作成時に使用されるリプログラミング因子を用いて、動物由来のiPS細胞の作成に取り組んでいる。 またBoCの基となるマイクロ流体デバイスの改良にも取り組んでおり、こちらも順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
動物由来のiPS細胞の作成に関しては、既に数種類試験している。これからはiPS細胞としての評価を行っていく。また、得られたiPS細胞を用いて、目的の組織細胞(例えば肝臓様細胞)などへの分化を試みる。また動物種の病気に対して効果的な薬剤を同定する行う上で、「機能的な組織細胞の使用」は必須である。そこで本項では、絶滅危惧種iPS細胞から機能的な組織細胞へと分化誘導に必要な3次元細胞外環境を同定する。マイクロ流体デバイスは、従来のマクロな細胞実験系では困難であった、3次元的な細胞外環境因子の厳密制御を可能にし、よって組織細胞の高機能化も可能になる。環境を同定する際の細胞指標として、各組織の機能性タンパク質の発現量を定量的に観察する。申請者は、これまでに3次元細胞外微小環境を同定するためのマイクロ流体デバイスの開発に成功しており(Kamei et al., Biomed. Microdev. 2015)、本申請ではそれを応用する。最後に、絶滅危惧種iPS細胞由来3次元微小組織を連結したin vitro生体モデルBoCの開発する。項目Bにおいて、各組織に最適化した3次元細胞外環境を基にBoC用マイクロ流体デバイスをデザインし、BoC内でも組織細胞が本来持つ機能を発現する環境を創出する。
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Causes of Carryover |
当該年度では、iPS細胞を作製することを実験研究計画として盛り込んでいた。しかし、我々の予定以上にiPS細胞の作製に関する実験が進んだため、必要な経費を最低限にすることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、より詳細なiPS細胞の未分化性の確認実験をする必要があるので、そのために使用する。また、近年のiPS細胞研究から、iPS細胞のステージにはnaiveとprimeの2つのステージがあることが明らかとなってきた。しかし、動物種のiPS細胞がどちらのステージになっているかは、不明である。そこで、本研究ではそれについても明らかにする。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Microfluidic-nanofiber hybrid array for screening of cellular microenvironments2017
Author(s)
K. Kamei, Y. Mashimo, M. Yoshioka, Y. Tokunaga, C. Fockenberg, S. Terada, M. Nakajima, T. Shibata-Seki, L. Liu, T. Akaike, E. Kobatake, E. S. How, M. Uesugi and Y. Chen
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Journal Title
Small
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Nano-on-micro fibrous extracellular matrices for scalable expansion of human ES/iPS cells2017
Author(s)
L. Liu, K. Kamei, M. Yoshioka, M. Nakajima, J.J. Li, N. Fujimoto, S. Terada, Y. Tokunaga, Y. Koyama, H. Sato, K. Hasegawa, N. Nakatsuji and Y. Chen
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Journal Title
Biomaterials
Volume: 124
Pages: 47-54
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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