2016 Fiscal Year Research-status Report
低コスト・高効率な新規ナノ開口基板作製法の開発とDNA結合蛋白質研究への応用
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16K14669
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
韓 龍雲 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (50566297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 1分子イメージング / DNA結合蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ開口基板は高濃度蛍光標識生体分子の蛍光1分子イメージングを可能とするガラス基板です。これまでにナノ開口基板作製手法を確立し、蛍光標識RuvB蛋白質の機能解析を行いました。しかしながら、ナノ開口基板を用いた解析を汎用性の高い研究手法とするためには、安価で効率より作製する必要があります。また、本研究計画で解析対象としているRuvA/RuvB/RuvC蛋白質はDNA相同組換えの中間体で、十字型構造をしたHolliday構造DNAの分岐点移動や切断を担う蛋白質です。 今年度はCharacter Projection法と呼ばれる高速でナノ加工を可能とする手法を用いて、安価で効率よくナノ開口基板を作製する手法を確立しました。以前の私自身の作製手法に比べて、使用するガラス基板をカバーガラス型の石英基板から直径10cmのウェハ型の石英基板を用いて、基盤作製後、必要なサイズに基板を切断する手法を新たに加えることで、コストの面では5分の1程度に抑え、1日あたりの作製枚数については従来の10倍程度まで向上しました。 また、作製したナノ開口基板を用いた解析を行うために蛍光標識RuvAの作製しました。ナノ開口基板上での解析を行う前にその活性を物理化学的手法で解析しました。その結果、これまでの生化学的手法で得られなかったRuvAとRuvBとの結合解離について、興味深い結果が得られました。基質であるHolliday構造DNA非存在下では、RuvAとRuvBの結合速度は分オーダーの非常に遅い反応ですが、Holliday構造DNA存在下ではその結合速度が秒オーダーに大きく促進する結果が得られました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画はCharacter Projection法を用いた安価で効率のいいナノ開口基板作製手法の確立ですが、平成28年度中に確立しました。 また、作製したナノ開口基板を用いた解析を行うために蛍光標識RuvAの作製を行いました。その活性を物理化学的手法で解析しました。その結果、これまでの生化学的手法で得られなかったRuvAとRuvBとの結合解離について、興味深い結果が得られました。基質であるHolliday構造DNA非存在下では、RuvAとRuvBの結合速度は非常に遅いですが、Holliday構造DNA存在下ではその結合速度が大きく促進する結果が得られました。この結果につきましては、この2、3ヶ月で論文投稿に進めることができる状態です。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度内でナノ開口基板を安価で効率よく作製する手法を確立しました。また、蛍光標識RuvAを作製し、これまでにその機能解析を物理化学手法により解析し、いくつかの新たな結果を得ることができました。今年度はこれまでの研究に引き続き、RuvA/RuvB/RuvC蛋白質の機能解析を行う予定。 特にナノ開口基板を用いた機能解析をメインに行う予定です。また、蛍光標識RuvAとRuvBは作製しましたが、RuvCについてはまだ行っていませんので、今年度は傾向標識RuvCの作製も行う予定です。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画より研究が進展し、平成29年度の計画に予定していた蛋白質の機能解析を今年度に前倒しして実施するため、前倒し申請、前倒し支払い請求を行ったが、計画より少ない予算で解析を行うことができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前倒し申請、前倒し支払い請求により当初の計画より研究が進展し、かつ、研究費も当初の計画より先に使用していることもあり、今年度は平成28年度に前倒しした金額を除いた形で研究を進めていく。
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Research Products
(4 results)