2016 Fiscal Year Research-status Report
大容量RNA配列の情報解析による中心体非翻訳型RNAの網羅的同定
Project/Area Number |
16K14673
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北川 大樹 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 教授 (80605725)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中心体 / lncRNA / 次世代シークエンス / 細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ヒト培養細胞から中心体の生化学的精製法の確立及びRNAの抽出: ヒト培養細胞であるHeLa細胞、HEK293T細胞から中心体画分を生化学的に粗精製した。主には、ショ糖密度勾配液を利用した超遠心により、中心体を含んだ細胞質画分からの精製を行った。また、RNA精製後のサンプルに関しても精製度や濃度の測定を行った。 2.次世代シークエンシングによるRNA配列の同定及びヒトゲノムへのマッピンング: 遺伝研が所有する次世代シークエンサーHiseq2000を利用し、サンプル中のmRNA及びncRNAを網羅的且つ定量的にシークエンスし、検出した配列をヒトゲノム上にマッピングした。 3.統計学上有為差のある(中心体特異的な)ncRNA群の同定とサンプル間比較の情報解析 : 全ヒトゲノ領域を100bpごとに区切り、リード数でネガティブコントロールと比較して2倍以上、4倍以上の値を示すゲノム領域を選別した。また、サンプル種間(異なる培養細胞、異なる実験条件、異なる実験)で比較した場合、共通して中心体画分に見出されるものに関しても選別し検証を行った。 以上の解析から、ヒト培養細胞から粗精製した中心体画分に含まれる特異的ncRNAを約50同定した。そのほとんどがこれまで解析されていない、機能未知のlncRNAである。lncRNAは進化速度が非常に速いことから、他種における一次配列上の保存性に関しては多くの場合が不明であったが、ヒト培養細胞における機能スクリーニングにおいて今後各々の細胞分裂過程における機能を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に関しては、主に中心体に特異的に局在しうるlncRNA候補群の同定を予定しており、それを達成している点では概ね順調に研究は進展している。細胞内における候補lncRNA各々の機能解析においても、初年度に、今後使用するsiRNAの選定や、局在解析に行うFISH法の条件検討などを行い、以前よりも効率化することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
同定された中心体で機能しうるlncRNAの機能解析を精力的に進める。このステップを迅速に行い、表現型の観察から有望な候補群が得られない場合においては、条件変更も検討し、再度候補lncRNA群の選定を行う。機能スクリーニングや局在解析の条件検討は十分になされているので、この過程は円滑に遂行されることが期待できる。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンス解析により、今後解析するべき中心体に特異的に局在するlncRNAの候補群の選定は完了した。しかし、ヒト培養細胞におけるRNAiを用いた各々の因子の機能解析や局在解析は今年度着手できなかった。次年度においてはwet系の実験、すなわち機能スクリーニングを精力的に推進する必要があり、当該研究課題における全体的な経費もここにかかる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、今年度からの持ち越し分と、次年度分として請求した助成金の合算を、主にwet系の実験、すなわち、遺伝子実験関連試薬、タンパク質実験関連試薬、培養細胞関連試薬等の消耗品費として大部分を使用し、一部、成果発表のための国内学会参加費、論文掲載費に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)