2016 Fiscal Year Research-status Report
ミリ波帯パッシブサーモグラフィーを応用したタンパク質構造変化エントロピー測定
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16K14684
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Research Institution | Gifu Women's University |
Principal Investigator |
岸上 明生 岐阜女子大学, 家政学部, 教授 (40261177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
莅戸 立夫 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (00261149)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミリ波 / 放射温度計 / タンパク質構造変化 / 自由エネルギー / ガラス転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミリ波帯パッシブサーモグラフィー装置で、冷却凍結したBSAタンパク質溶液を加温操作したときの試料の温度上昇過程の測定を行った。 ミリ波帯パッシブサーモグラフィー装置をタンパク質溶液測定に応用する実験に必要な周辺装置の開発と設置準備を目指した今年度の研究計画に従って、測定操作システムの開発を次のように行った。(1)温度測定の実施が可能となる測定チャンバーを作成した。(2)作成した測定試料チャンバーに試料を設置する測定条件を検討し、実際に測定可能な実施条件や測定手順を見いだした。(3)5%,10%,15%,20%の濃度に調製したBSAタンパク質溶液について測定を試みたところ、測定結果の曲線から濃度依存性の傾向が認められた。この結果は、測定シグナルが研究目的とするタンパク質に由来した情報を含んだものであることを示す。(1)(2)(3)の成果より、測定システムをさらに改良すべき問題点は、実際の測定状況に応じて必要な具体的な項目として明らかにできた。測定の試行により、今後の計画の適正な修正が可能となった。 今年度の研究成果は、ミリ波帯パッシブサーモグラフィー装置が、凍ったタンパク質溶液試料の温度情報を非侵襲性で高精度に測定する道具として利用できる可能性を示したことであり、今後の研究を計画通りに進められる確証を与えた。タンパク質構造内で遷移温度が明らかにされている試料の測定を試みた結果は、構造変化と温度変化が対応した現象が本研究のミリ波帯パッシブサーモグラフィー測定で確認できたことを意味する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに測定システムが構築され、BSA溶液の測定と測定の再現性が達成されている。 取得したデータが、全く新しい情報であるため、データ解析については、試行錯誤状態の所があり、十分な解釈・結論に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度得られた結果を基にして、ミリ波帯パッシブサーモグラフィーのタンパク質溶液計測システムと測定方法のさらなる最適化を確立した後に、タンパク質構造変化と温度変化が対応した現象であることを確認する。 測定試料のBSAタンパク質溶液の温度変化と構造変化の関係を検証するために、タンパク質立体構造モデルをシミュレ ーション計算する分子動力学計算システムを導入し、タンパク質構造変化時の構造エネルギーを計算した結果と 実験測定した結果を比較して、測定したエントロピー情報の評価を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度の研究において、測定チャンバーや測定装置の開発・改良が予定よりも順調に進めることができたため、計画していた予算以下で研究を進めることができた。.今回の測定結果より、今後の研究でも装置の改良・保守が必要になるため、次年度の改良・保守費用として利用するために繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度作成したチャンバーと装置は、今後の研究において、測定試料の状況に合わせて改良してゆく必要があると予想されるので保守改良費用として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)