2017 Fiscal Year Annual Research Report
Signal transduction in cell is only one way?
Project/Area Number |
16K14710
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石島 秋彦 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80301216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌は外環境刺激に応じてべん毛モーターの回転方向を制御し、自身にとってより好ましい環境へと移動する走化性を有している。外環境シグナル(誘引物質や忌避物質)は細胞極に局在する走化性受容体によって認識され、受容体に結合したCheAの自己リン酸化活性が調整される。CheAのリン酸基は速やかにCheYに転移され、リン酸化CheYはシグナル伝達分子として細胞質を伝わり、べん毛モーターに結合してモーターの回転方向をCCW回転CW回転へと転換する。従来の研究では、入力センサーである受容体から走化性システムの出力器官であるべん毛モーターへの一連のシグナル伝達のメカニズムについて詳しく研究されてきた。しかし、先行研究でべん毛モーターへの負荷が走化性応答に影響することがわかってきている。これは外界からの刺激を受けたべん毛モーターが受容体の活性を制御するようなフィードバック機構の存在の可能性を示唆している。そこで、本研究ではべん毛モーターからの情報伝達フィードバック機構の有無を、ガラスニードルを用いた方法で検証した。べん毛モーターの強制回転停止実験を行なったところ、回転停止直後に,回転停止させなかったもう片方のモーターで回転方向変換が起きている菌体も観察された。そこで,両方のモーターについて回転停止前・停止中・停止後について時間変化を解析した。その結果,回転停止中に停止していない方のモーターのCW biasが徐々に上昇する傾向が見られた。これは、片方のべん毛モーターを強制的に回転停止することにより受容体が活性化し、もう片方のモーターのCW回転の割合を上昇させた可能性が考えられる。また、どちらのモーターにおいても回転停止を解除するとCW biasが下降するような傾向が見られた。これは、モーターへの負荷が受容体の活性に影響を与えたことによりCW biasの数値変化に影響を及ぼしたのかもしれない。
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