2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14715
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高野 光則 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40313168)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アロステリック機構 / 圧電応答 / 分子機械 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は主に以下の4つの課題に取り組み、それぞれ成果をえることができた。 ①ミオシンの圧電アロステリー(Ohunuki, Sato, and Takano, Phys Rev E, 2016)を可能にする分子内の物理的特性をクーロン結合ネットワークの観点から解析した。これまで我々のグループで明らかにされた臨界パーコレーション性(Morita and Takano Phys Rev E 2009)がクーロン結合ネットワークにも見られることを分かった。さらに、ネットワークと特徴付ける媒介中心性が高いノードがクーロン結合ネットワークの要所になっていることを見いだした(論文投稿準備中)。 ②圧電アロステリーの普遍性を示すため、アクチンフィラメントに張力を負荷した分子動力学シミュレーションを実行し、フィラメントの圧電応答を解析した(国際会議で口頭発表・ポスター発表済。論文投稿準備中)。分子動力学シミュレーションの高速化のためaMD法を導入した。 ③高速MD計算計算を可能にるGenralized Bornモデルにおいて、分子間結合にともなう静電自己エネルギー変化(脱水和ペナルティー)の過大評価の問題が明らかになったので、その原因を物理的に究明し、結合にともなう自己エネルギー変化の過大評価を是正する方法を提唱した(Mizuhara, Parkin, Umazawa, Ohnuki, and Takano, J Phys Chem B, 2017)。 ④アクチン重合のリエントラント性(非単調な塩濃度依存性)の解明のため、Generalized Bornモデルを用いてフィラメント内の静電相互作用を解析し、大域斥力と局所引力の競合を明らかにした(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
定圧条件aMDによるアクチンフィラメントの張力負荷のMD計算で不具合が見つかったため(ブーストポテンシャル印加による水の密度低下)、再計算を実行する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①aMDによる再計算を続行し、アクチンフィラメントの圧電アロステリーの定量的に議論できるレベルまで統計精度の向上をはかる。 ②Odaモデル、Fujiiモデル、Murakamiモデルを用いてそれぞれaMD計算を行い、張力付加による圧電応答の初期構造依存性を調査する。 ③フィラメントに特異的に結合している多価カチオンとリン酸の影響(圧電応答とリエントラント転移に対して)を調査する。 ③アクチンフィラメント中のサブユニット間静電相互作用を解析するため、アクチン重合にともなう自由エネルギー変化の塩濃度依存性を計算する。 ④圧電応答前後の緩和構造を用い、アクチンフィラメントとミオシンとの結合・解離、およびアクチンフィラメントとADF/コフィリンとの結合・解離の分子動力学シミュレーションおよびエネルギー計算を実行する(ともにGeneralized Bornモデルを使用)。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は主に物品費になる。これは今年度に導入予定だった高速計算ボードの性能(特にTDP)が当初想定していたものより低く、導入を次年度に見送ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TDPおよび計算実行速度の性能評価を行ったうえで高速計算ボードを導入する。
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Research Products
(8 results)