2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14725
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
辻田 和也 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 講師 (10457054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞膜の張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜の張力は細胞膜の形状変化を伴う生命現象を理解するうえで必須な要素である。近年の研究により、細胞膜の張力という物理的なシグナルが、細胞運動、細胞分裂、極性形成、発生等の基本的な生命現象を制御していることが明らかになりつつある。しかしながら、細胞膜の張力を特異的に認識するプローブが存在しないため、細胞膜の張力がどのように、時空間的にこれらの生命現象を制御しているのか全く明らかではない。本研究では、細胞膜の張力を可視化するプローブを開発することを目的としている。さらにその応用例として、細胞運動及び上皮細胞の極性形成時の細胞膜張力の勾配を実際に可視化することを目標としている。 本年度は、膜変形活性をもつタンパク質に着目して、細胞膜張力プローブとして適しているタンパク質の選定を行った。まず、候補タンパク質のクローニングを行い、GFP融合タンパク質を作製し、培養細胞に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡で観察を行い、候補タンパク質の膜変形活性を調べた。結果、タンパク質Xの部分配列が最もプローブとして適している性質をもつことが分かった。さらに、より細胞膜の張力プローブとして適するように約10か所に変異を入れ改変を行った。これらの変異体を培養細胞に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡で観察を行い、凝集体を作らず、かつ細胞膜の張力の変動に感受性をもつ変異体を同定した。この変異体を細胞膜の張力プローブとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である細胞膜張力プローブの選定に成功し、さらに、変異体を作製し、より細胞膜の張力の変動に感受性をもつプローブの作製に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作製した細胞膜張力プローブが、実際に細胞運動の際、細胞膜の張力に変動を感知しているか、蛍光タンパク質をつなげてライブイメージングを行い、細胞膜の張力の分布の可視化を試みる。運動先端側の細胞膜張力は変動しており、細胞後方の膜張力より優位に低いことが示唆されている。そこで、実際に作製したプローブが、細胞先端側に特異的に濃縮しているかどうか調べる。さらに、プローブが細胞膜の張力を特異的に認識して先端に局在しているか確認するため、細胞伸展装置を用いて、細胞運動時の細胞膜の張力を人工的に下げた時、プローブの先端への極性化が崩壊して、細胞膜全体に局在化するかどうか調べる。逆に、細胞膜の張力を人工的に上げた時、プローブが細胞先端から外れるかどうか調べる。
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