2017 Fiscal Year Research-status Report
新規イメージング法とホームメイド薬剤による植物の不等分裂機構の解明
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16K14753
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 美那子 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 特任講師 (20598726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植物受精卵 / ライブイメージング / 化合物スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物において、最初期に形成される体軸である上下軸の形成は、受精卵の細胞内極性にまで還元されるが、受精卵を極性化させるしくみについては、これまでほとんど分かっていなかった。そんななか、私はシロイヌナズナの受精卵の極性化や不等分裂に必須の転写因子群を独自に見出し、これらを用いてライブイメージングや化合物スクリーニングを行うことで、受精卵を極性化させる分子メカニズムの理解を目指した。本年度は、シロイヌナズナのin vitro胚珠培養系と、組織深部の高精細な観察を可能とする二光子顕微鏡システムを組み合わせ、受精卵の内部動態の精緻なライブイメージングを行った。この成果を多くの国内外の学会で発表するとともに、新規の方法論として論文発表に至った(Kurihara and Kimata et. al., 2017)。また、化合物スクリーニングの結果としても、受精卵の不等分裂を阻害する新規の薬剤を複数見出し、質量分析を行った結果、これらの標的分子の候補も同定済みである。また、これらの薬剤と、受精卵のライブイメージング系と組み合わせた解析を行ったことで、この標的分子が受精卵の極性化に果たす役割についても明らかになりつつある。これらの成果について、現在論文を執筆中である。さらに、精細胞と卵細胞のそれぞれから受精卵に持ち込まれるSSPとHDG11/12が、WRKY2転写因子を介在することで協力し、受精卵でWOX8遺伝子の発現を誘導することで、受精卵の極性化と胚のパターン形成を制御するメカニズムも明らかにした(Ueda et. al., 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物受精卵の精緻なライブイメージング系を立ち上げ、その成果を既に論文として発表した。加えて、受精卵の極性化のメカニズムを明らかにした論文も報告するに至っており、充分な成果が得られている。ただし、植物栽培室に害虫が想定外に大量発生したために、植物を廃棄して栽培し直すことになった。このため、期間延長申請を行い、現在、データ取得の完遂と論文執筆を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したライブイメージング系を活用し、受精卵の動態をさらに詳細に解明する。これと並行して、スクリーニングによって得られた化合物のについても解析を進めることで、受精卵のみならず、植物の発生や機能全般に果たす役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
植物栽培室に害虫が想定外に大量発生したために植物を廃棄して栽培し直すことになり、ライブイメージング解析を3ヶ月延長する必要が生じた。そこで、H30年度にガラスボトムディッシュなど観察用消耗品を購入し、ライブイメージング解析を完遂させ、その成果を論文として公表する。
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Research Products
(9 results)