2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14761
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 進化 / 植物運動 / シグナル伝達 / ハエトリソウ |
Outline of Annual Research Achievements |
カルシウムシグナルは,葉身辺縁部にある維管束組織と思われる自家蛍光の強い組織付近で止まっていた。この自家蛍光の強い組織が維管束組織と一致するのかを調べるため,ハエトリソウの葉身を透明化する実験系を立ち上げた。透明化標本を作製したところ,自家蛍光の強い組織は維管束組織であることが確認出来た。以上のことから,カルシウムシグナルは葉身辺縁部の維管束組織付近まで到達していることが分かった。 次に,カルシウムシグナルが葉身上を伝播する速度を感覚毛から測定したところ,中央脈方向へ3cm/s,それ以外の方向へ1cm/sの速度で伝達することが分かり,カルシウムシグナルは中央脈方向へ速く伝達する性質があることが分かった。接触刺激により発生することが知られている活動電位は6cm/s ~ 17cm/sの速度で伝播することから,カルシウムシグナルの伝達速度は活動電位よりも遅いことが分かった。 シロイヌナズナでは,創傷刺激によって生じたカルシウムシグナルは異なる葉の間の伝達することから,ハエトリソウのカルシウムシグナルにおいても同様の性質があるのかを調べた。ハエトリソウの葉身に創傷刺激を与えると,接触刺激を与えた際と同様に葉身全体へカルシウムシグナルが伝達し,このカルシウムシグナルはシロイヌナズナの場合とは異なり他の葉へは伝達しないことが分かった。以上のことからハエトリソウでは,創傷刺激によるカルシウムシグナルは接触刺激によるカルシウムシグナルと同様に葉身間を伝達せず,シロイヌナズナのカルシウムシグナルと異なっていた。ハエトリソウの葉身と葉柄の間にはカルシウムシグナルの伝達を阻害する何らかの仕組みが存在する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想と異なった解析結果が出たが、来年度、再解析を行い、より精緻な研究成果とりまとめを行った上で論文を投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
論文として成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初予想と異なった解析結果が出たため、再解析を行い、より精緻な研究成果とりまとめを行った上で論文を投稿する ため。
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