2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of the memory in Dionaea muscipula
Project/Area Number |
16K14761
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 進化 / 植物運動 / シグナル伝達 / ハエトリソウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のこれまでの結果より,2度の接触刺激に応じた細胞内の加算的なカルシウムイオン濃度の上昇と葉身の閉合運動に相関がみられた。そこで,カルシウムイオン濃度と運動がどのように関わるのかを調べるため,葉身が2度の接触刺激で運動しないように運動阻害した条件と,逆に1度の接触刺激で運動してしまう条件において細胞内のカルシウムイオン濃度の変化を調べた。既往研究から,ハエトリソウの運動機構はカルシウムチャネルブロッカー「ランタンイオン」を葉身に吸収することによって阻害されることが知られてきたことから,ランタンイオンを吸収させた葉身を用いてカルシウムイメージングする実験系を構築した。 イオン交換水を吸収した葉に2度の接触刺激した場合は細胞内のカルシウムイオン濃度が加算的に2度上昇し,運動が見られた。一方,ランタンイオンを吸収させた葉に接触刺激を与えたところ,1度目の刺激では葉身でカルシウムイオンの濃度上昇が見られるものの,2度目の刺激に応じて濃度上昇せず,2度目の刺激で運動しないことが分かった。 一方,既往研究では35-40度で高温栽培した株の葉では,1度の刺激に応じて運動することが知られてきた。そこで,4日間40度で栽培した葉に接触刺激を1度のみ与えてカルシウムイメージングをしたところ,室温栽培の葉で見られるような2度の加算的なカルシウムイオンの濃度上昇が見られ,運動が起こった。以上の結果から,ハエトリソウの運動機構が細胞内カルシウムイオン濃度依存的に制御されている可能性が支持された。
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