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2017 Fiscal Year Research-status Report

植物の連続光障害の克服に向けた分子遺伝学的研究

Research Project

Project/Area Number 16K14763
Research Institution岡山県農林水産総合センター生物科学研究所

Principal Investigator

後藤 弘爾  岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, 専門研究員 (00251489)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords植物の連続光障害 / トマトゲノム / 概日リズム / 光障害 / オミクス解析
Outline of Annual Research Achievements

連続光障害耐容性を示す栽培トマト品種Micro Tom (MT)と、連続光障害感受性のAilsa Craig (AC)とを交配して得られた雑種第2世代(F2)から選抜した連続光障害耐容性個体を用いて、全ゲノムを対象とした1塩基変異(SNP)解析を行った。その結果、MT型SNPは染色体6番に集積していることが分かったが、それ以上の狭い領域に責任遺伝子座を絞り込むことはできなかった(中部大学の鈴木准教授との共同研究として実施)。ゲノムサイズが小さいシロイヌナズナでは、1回の解析で責任遺伝子まで特定可能な実績のある解析手法、プログラムを用いたが、トマトでは期待した程には狭い領域に遺伝子座を絞り込むことはできなかった。そこでさらにデータベース解析により、遺伝子モデルのエクソン領域にSNPが存在し、それによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列が変化する遺伝子に注目したところ、72個に絞り込むことができた。下記に示す、トランスクリプトーム解析の結果と照合した結果、その内51遺伝子は、ほとんど発現がみられなかった。残る21遺伝子については、今後実験的に解析していく計画である。
MTとACについて、16時間明期8時間暗期(16L8D)条件で栽培したものと、連続光条件(LL)で2週間栽培したものとについて、完全展開葉を用いてトランスクリプトーム解析を行った。6番染色体に座乗する遺伝子について、品種間(MTとAC)および栽培条件間(LDとLL)の比較により、発現量が2倍以上または1/2以下になる遺伝子を抽出し(142個)、遺伝子アノテーションおよびホモロジー検索によって、それらの機能を推定した。約半数の遺伝子が機能未知であり、それらを除く遺伝子(65個)について、SNP解析の結果と併せて、遺伝子の絞り込みを進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

トマトの連続光障害耐容性に関する責任遺伝子の特定に向けて、次世代シークエンサーを用いた大規模解析を2種類実施した。耐容性品種と感受性品種とを用いた1塩基変異(SNP)解析と、品種に加えて栽培条件を変えたトランスクリプトーム解析である。遺伝子の構造変異解析と遺伝子発現解析という2つの異なったアプローチにより、一挙に責任遺伝子の特定が進むと期待された。
SNP解析による責任遺伝子の特定は、シロイヌナズナなどでは異なる生態型を用いた実施例により多くの成功報告のある手法である。今回行ったトマトを用いた研究例は、これまで報告が無かったが、原理的にはシロイヌナズナと変わらないと考えている。ただし、本研究で問題点として明らかになったことは、トマトの品種は単系統由来であり、染色体や遺伝子座によってはSNPの分布や存在頻度がかなり偏っていることが挙げられる。また、トマト染色体の組み替え頻度に偏りがあり、交叉が均一に起きていない可能性が考えられる(トマトのブリーダーの間ではよく話題にされる問題点である)。さらに、連続光障害は非常に多面的な表現型を示すため、その表現型のスコアリングが難しい側面がある。すなわち、F2世代での連続光障害耐容性個体のスクリーニング、選抜が適切に行えなかった可能性も残されている。
トランスクリプトーム解析は、SNP解析の結果に基づき6番染色体に座乗する遺伝子にターゲットを絞って解析したが、今後は全発現遺伝子に対象を広げて解析していく必要がある。また、その場合は対象遺伝子の数が増大するので、閾値の設定等を最適化して、解析を行う。

Strategy for Future Research Activity

連続光障害によって現れる表現型が多面的であり経時的に変化していくことが、表現型に基づく遺伝学的解析を進める上で障害となっている。本研究を行うに当たって立てた作業仮説では、遺伝学的な上位に位置する遺伝子によって、LD条件とLL条件とにおけるトマトの生理状態が制御されており、様々な表現型はその下流の遺伝子の発現の有無による、というものである。連続光障害耐容性の表現型が、F2世代で3:1に分離するのはその上位遺伝子(責任遺伝子)が、1遺伝子座乗であるという考えを支持している。しかしながら、今年度までのアプローチで責任遺伝子を絞り込むには至っていない。そこで、連続光栽培の条件を精査し、連続光障害が生じるには暗期が0時間でなければならないのか、例えば、短時間でも明期が中断されれば障害は抑制されるのかを確かめる。その上で、生理障害の表現型を5つ程度に絞り、その発生順序を明確にし、定量的に測定できる指標を決めることで、再度F2の連続光障害耐容性個体のスクリーニングを行う。また、トランスクリプトーム解析を行う対象遺伝子範囲を広げると共に、パスウェー解析等により、連続光下での遺伝子発現のカスケードを明からにしていく計画である。

Causes of Carryover

(理由)大規模ゲノム解析のデータ解析が予定以上に時間がかかり、経費のかかる実験の実施が遅れた。
(使用計画) 次年度は、栽培実験を大量に行う必要が生じるので、栽培管理のための研究補助員を採用し、その謝金に充当する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 2017

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Presentation] Functional analysis of tomato flowering genes of FT clade2018

    • Author(s)
      C. Moriya and K. Goto
    • Organizer
      第59回日本植物生理学会年会
  • [Presentation] Goto, K., and Moriya, C.2017

    • Author(s)
      Functional analysis of tomato flowering genes.
    • Organizer
      Workshop on molecular Mechanisms Controlling Flower Development.
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Functional Analysis of Tomato Flowering Genes of FT-clade.2017

    • Author(s)
      C. Moriya and K. Goto
    • Organizer
      Taiwan-Japan Plant Biology 2017
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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