2016 Fiscal Year Research-status Report
収束イオンビーム切削走査電顕FIB-SEMによるシナプスの3次元形態計測
Project/Area Number |
16K14767
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 専 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30273460)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 3次元再構築 / ssTEM / FIB-SEM / 微細形態計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
CDC42のエフェクター分子CDC42EP1-5とセプチン細胞骨格との選択的会合(Nat Cell Biol 2001, Dev Cell 2002)の生理的意義の探索のため、小脳皮質のバーグマングリア(BG)に選択的かつ大量に発現するCDC42EP4に着目して遺伝子欠損マウスを作製し、協調運動障害を見出した。グルタミン酸作動性シナプスを被覆するBG突起内のセプチン細胞骨格とCDC42EP4がグルタミン酸トランスポーターGLASTの足場であるため、CDC42EP4欠損がGLASTの脱局在をもたらし、グルタミン酸クリアランスが遅延することをメカニズムの1つとして示した(Nat Commun 2015)。一方、透過型電子顕微鏡(TEM) 2次元像では、シナプス間隙に嵌入するはずのBG突起が後退するとともに、アクティブ・ゾーン外側の非シナプス性接着領域が有意に拡張しており 、この間隙にグルタミン酸が滞留してクリアランスが遅延する可能性も示唆された(未発表)。そこで、このマウスおよびセプチン欠損マウスで見出しつつある興味深い微細形態異常を対象として、連続超薄切片から取得した一連のTEM画像を積層・整列して3次元再構築するssTEM法による形態計測を行っている。さらに、試料表面を5nmの深さに平滑に切削して走査電顕画像を取得するサイクルを自動反復する集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB-SEM)法による形態計測も新たに導入して解析する。シナプス小胞数と分布、アクティブ・ゾーン(PSD)面積、スパイン体積、スパイン長、頭部-頸部-基部の長径・短径、spine apparatusなどシナプス再編成に伴って変動する定量的形態指標を計測・抽出し、群間有意差を統計学的に検定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子欠損マウス脳のssTEM法によるコンベンショナルな解析は研究代表者が保有する透過型電子顕微鏡を使用して既存のプロトコルで進めている。一方、名古屋大学鶴舞キャンパスに導入されたFIB-SEM装置の立ち上げと試料作製・切削・撮像条件等は電子顕微鏡微細形態学の専門家である深澤有吾教授(福井大学)が検討中であり、プロトコルが確立した後に共同研究として共有させていただく予定である。ssTEM法による3D再構築に関するプロトコルは共著で発表済(Methos Cell Biol 2016)であり、このプロトコルを用いた共著論文は2017年中に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ssTEM法による解析は予定通り行い、やや遅れているFIB-SEMはプロトコルの確立を待って解析を急ぐ。必要に応じてFIB-SEMの第一人者である太田啓介准教授(久留米大学)の助言と技術協力を求める。
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