2016 Fiscal Year Research-status Report
新規視床下部小タンパク質の標的細胞及び受容体の同定
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16K14769
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浮穴 和義 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (10304370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩越 栄子 広島大学, 総合科学研究科, 研究員 (50311296)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視床下部 / 摂食行動 / 体重増加 / 標的細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、鳥類の視床下部から新規分泌性小タンパク質であるNPGLを発見している。これまでラットを主に用いて研究を進めた結果、NPGLがエネルギー代謝調節に関与していることを見出した。しかしながら、新規脳因子であるがゆえに、NPGLの作用機序や生理的意義に関する知見がない。本研究ではNPGLの作用部位や作用経路を解明する目的で、NPGLの標的細胞の探索と受容体の本体を明らかにするという挑戦的萌芽研究にふさわしい研究を進めている。まず、鳥類ニワトリヒナを用い、NPGLの末梢と中枢投与を行い、体重増加や摂食行動を指標とし、生じる効果を解析した。その結果、末梢投与よりも中枢投与の方が顕著な摂食及び体重増加作用を示した。このことからNPGLの作用部位は脳内であることが示唆された。次に、ラット、マウス、ニワトリの脳内におけるNPGLの産生細胞と神経線維の投射を形態学的手法により解析した。その結果、NPGLの神経線維は細胞体周辺や視床下部領域の極めて限られた領域にのみ検出された。この観察から、NPGLの標的部位は、脳全般にわたるわけではなく、細胞体周辺の近傍領域に限られることが示唆された。次に、既知の視床下部因子との相互作用を解析する目的で、マウスを用い、視床下部に発現している既知因子との神経連絡を解析した。その結果、摂食抑制に関与するプロオピオメラノコルチン(POMC)ニューロンにNPGL神経線維の終末が観察された。このことから、NPGLの投射部位が初めて示唆され、その標的細胞の候補を見つけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の解析により、これまで不明であったNPGLの投射先を初めて明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、NPGLの受容体を同定する目的で、生化学的な手法を用いた受容体バインディングアッセイや形態学的解析によるオートラジオグラフィー、さらには結合タンパク質をペプチドマスフィンガープリント法により同定する研究を展開したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は当初予定した研究を早期に達成できたため、予定よりも少ない研究費の消化で終えることができた。ただし、次年度は多くの研究費を必要としているため、そちらに充足したいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
受容体バインディングアッセイ、オートラジオグラフィー、質量分析計を用いた解析に必要な消耗品費として使用する。
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[Journal Article] Neurosecretory protein GL, a hypothalamic small secretory protein, participates in energy homeostasis in male mice.2017
Author(s)
Matsuura D, Shikano K, Saito T, Iwakoshi-Ukena E, Furumitsu M, Ochi Y, Sato M, Bentley GE, Kriegsfeld LJ, Ukena K.
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 158
Pages: 1120-1129
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research