2017 Fiscal Year Research-status Report
インターネットによる地球規模の自然環境要因と動物行動のリアルタイム測定と解析
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16K14776
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松野 浩嗣 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (10181744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 真 山口大学, 時間学研究所, 教授 (30398119)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動物行動 / インターネット / リアルタイム測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、対象生物を調査目的にかなう環境に置き、多要因を同時に測定して、インターネットで伝送できる装置を開発することである。このため、行動データを取得のための赤外線センサ、環境データを取得するため温度、湿度、気圧、照度センサを実装した装置を作成し、ハムスターを使って行動計測を行った。 夜間は赤外線センサからの値が正しく取得できていることが確認できたが、昼間は強い日光により、照度センサの値が測定範囲を超える等の不具合が発生した。さらに、赤外線センサが日光に反応するため,動物の行動を正確に測定できない問題も生じた。そこで、これらへの対策として、照度センサについては,センサの変更や配置などの見直しを行い、日光の赤外線については、加速度センサを併用することで、その影響を排除した。 北海道と沖縄の2地点での測定期間が重なる平成29年3月30日~4月8日について、日照時間と行動量のデータを比較した。この期間は春分の日から間もなくのため、2地点の日照時間の差はあまりなく、照度データの測定差は最大29分であった。この状況下では、同一日における2地点のハムスターの行動量の違いは殆ど見られないはずであり、実際のところ、取得したデータからそのような違いを見出すことはできなかった。そこで、冬季から春季に至る日長が増加する期間において、山口と沖縄に置いた2つのハムスターの行動データを、温度、湿度、気圧などの環境データの関係とともに取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遠隔地の動物行動をリアルタイムモニタリングする実験系を構築するために、前年度は山口県から遠く高緯度に位置する北海道においてハムスターを飼育し、その自発行動をモニタリングすることに成功した。本年度は国内でのさらなる検討を実施した。すなわち、ハムスターの行動に対する緯度の影響を比較する目的で、沖縄県にて昨年度と同様の測定を実施した。分担者は、現地の研究者との打ち合わせや、装置のセットアップの一部とハムスターの測定環境の整備を担当した。得られたデータより、測定は成功したものを結論づけることができる。 ハムスターに加えて、沖縄地方に生息するミナミコメツキガニを対象とした研究も開始した。ミナミコメツキガニは、潮汐リズムに同調した時計を体内に持っており、日長リズムとの関係を調査することは非常に興味のある課題である。現在、その装置の開発を行っているところであり、哺乳類に加えて甲殻類まで研究の対象を拡大している。
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Strategy for Future Research Activity |
ハムスターについては、同時期に沖縄と山口で飼育したハムスターの行動データと環境データについて分析を行い、緯度の違いによる動物行動の違いについて検討する。 ミナミコメツキガニについては、水槽内で潮汐を発生する装置を作成中であり、潮汐の有無がカニの行動にどのように影響するかを調査する。例えば、沖縄で捕獲したカニに対して山口地方の潮汐リズムを与えると、これにカニが適応していくかどうかを観察する。このときに、温度・湿度・気圧・照度などの環境要因も同時に記録し、行動と環境の関係について調査を行う。 潮汐有の装置と潮汐無の装置をそれぞれ2台作成し、一台ずつ山口大学と琉球大学に設置する。これらの装置を太陽光の影響をうける場所に設置することで、日長と潮汐の違いによるカニの行動に違いを観察することができる。
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Causes of Carryover |
環境要因による動物行動の影響を哺乳類について行う計画で研究を開始したが、平成29年度から概潮汐リズムをもつミナミコメツキガニも研究の対象とした。これら2種類の動物の研究をするための予算利用計画を変更する必要が生じ、来年度の研究に支障のない予算を確保したため。
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Research Products
(2 results)