2016 Fiscal Year Research-status Report
カサノリにおける生物発光リアルタイム測定~生物時計PTOの解明に向けて
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16K14782
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 名誉教授 (20132730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 拓哉 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 講師 (00452201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズムはほとんど全ての生物に見られる約24時間周期のリズムであり、生物時計によって作り出される。生物時計の機能に必須の遺伝子は時計遺伝子と呼ばれ、これまでにいくつかの生物種で同定されている。時計遺伝子の解析が進んだ結果、時計遺伝子が転写・翻訳され、その産物が時計遺伝子自身の発現にフィードバック制御をかけるtranscriptional-translational feedback loop (TTFL)が、共通のメカニズムとして見えてきた。しかし、一方で、TTFLを介さない概日リズムの存在が明らかになり始めた。原核生物のシアノバクテリアでは、転写系の存在しない試験管内で生物時計の再構成が可能である。また、真核生物においても、核の存在しない赤血球においても概日リズムが観察出来ることがわかった(O'Neill JS and Reddy AB. Nature. 2011, 469:498-503)。これらのTTFLを介さない時計メカニズムはpost-translational oscillator (PTO)と呼ばれている。現在は、TTFLとPTOは互いに影響し合いながら時計として機能していると考えられている。生物時計の研究において、真核生物のpost-translational oscillator (PTO)の研究は重要な課題である。本研究はPTO研究において高い有用性を持つ巨大単細胞真核生物であるカサノリにおいて、PTOに駆動されるリズムを測定するレポーターシステムの開発を目指すものである。 今年度はカサノリ(A.ryukyuensis、およびA.calyculus)を採取し、研究室環境での培養系の確立に成功した。また、導入するルシフェラーゼレポーター遺伝子をデザインし、作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通り進んでいる。一点だけ以下のように変更した。レポーター遺伝子のプロモーターとターミネーターに関して、当初P230と呼ばれた未知遺伝子を予定していたが、予備的なRNA発現解析から、RBCS4遺伝子がより適切であることが明らかになったため、変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り進める。
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Causes of Carryover |
レポーター遺伝子を、当初予定していた未知遺伝子P230からRBCS4へ変更したことにより、遺伝子同定等にかかる費用が削減できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
カサノリの培養に想定以上のメンテナンスが必要であることが明らかになったため、それに従事する技術補佐員を雇用することとした。次年度使用額はこれに当てる。
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