2017 Fiscal Year Research-status Report
修飾特異的な抗体を用いないヒストン翻訳後修飾の解析系の確立
Project/Area Number |
16K14785
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
立和名 博昭 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がん生物部, 研究員 (70546382)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒストン / クロマチン / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物のゲノムDNAが形成するクロマチン構造は、遺伝子発現制御機構として働くことが知られている。クロマチン構造の主要構成因子は、4種類のヒストンタンパク質(H2A、H2B、H3およびH4)である。これらのヒストンタンパク質は、各2分子からなる八量体を形成し、そこにDNAが1.5回転巻き付いたクロマチンの基本単位となるヌクレオソーム構造を形成している。これらのヒストンは、翻訳後に化学修飾を受ける。ヒストンの化学修飾は、転写の制御やDNA修復時のシグナルなどに働くことが分かっており、その解析は非常に重要である。これまでにヒストンの化学修飾の解析には、特異的な抗体を用いられてきた。特異性の高い抗体が、免疫染色や免疫沈降などの用途に応じて必要であるが、良質な抗体が手に入らないと解析をすることができない。そこで、本研究は特異的な抗体を用いないヒストンの化学修飾の解析系の確立を目的として行っている。本年度は、これまでに、ヒストン亜種と変異体を含む15種類のヒストンをエピトープタグ(HA、FLAG、V5タグ)融合タンパク質として精製を行い、それぞれを機能的な複合体(H2A-H2BおよびH3-H4複合体)として試験管内において再構成した。再構成したヒストン複合体を、界面活性剤で処理した透過性細胞に加え、透過性細胞のクロマチンに取り込ませた。H3.1-H4複合体とH3.3-H4複合体を免疫染色法により解析したところ、細胞内でのダイナミクスと同様であることが明らかとなった。さらに、クロマチン免疫沈降法により透過性細胞のクロマチンに取り込ませたヒストン複合体を含むクロマチン断片を回収することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、主要型ヒストンおよびヒストンバリアントに加えヒストン変異体を解析できる系の確立を行うことができた。さらに、透過性細胞に取り込ませたヒストンをクロマチン免疫沈降法(ChIP)にて回収する系の確立に成功し、次世代シーケンサーを用いた大規模シーケンス解析が可能となった。また、二重チミジンブロックにより細胞周期を同調した細胞を用いて、ヒストンの取り込みを解析できるようになり、より詳細なダイナミクスの解析が可能となった。以上より、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
外部から加えたヒストンを透過性細胞のクロマチンに取り込ませる基盤技術は、確立することができた。現在までに加えているヒストン複合体は、大腸菌を用いて発現・精製しているため、いかなる化学修飾も受けていない。H3のN末端テールには、転写状態と相関するアセチル化やメチル化修飾が入ることがしられている。そこで、リコンビナントタンパク質として精製を行ったエピトープ融合ヒストンH3にインテインによる合成ペプチドのライゲーション法を用いて任意の修飾を導入する。N末端テールにアセチル化リジンもしくはメチル化リジンを導入したヒストンH3のダイナミクスを、透過性細胞を用いた解析により行う。
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Research Products
(4 results)