2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating origin and evolution of unique mitochondrial genome found in sea slugs
Project/Area Number |
16K14787
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
依藤 実樹子 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, ポスドク研究員 (10646467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミトコンドリアゲノム / ウミウシ / 加速進化 / 集団遺伝 / 遺伝暗号 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟体動物ウミウシ類の一部には、核遺伝子とミトコンドリア遺伝子の示す系統進化関係が著しく異なる種が存在し、それらのミトコンドリアゲノムには目レベルに相当する極端な塩基配列の違いが生じていることが見出された。本研究では、属内でこの際だった変異パターンを示すムカデミノウミウシ属の種に着目し、ウミウシ類におけるミトゲノムの進化過程の解明に向けた基礎情報を得ることを目的としている。 2019年度は、総括に向けた実験解析を行い、一部に達成できなかった項目があるが、大部分の検証を行うことができた。 ムカデミノウミウシ属に見出した特異な“ミトゲノム”は、偽遺伝子である可能性が残っているため、RNAの発現確認と細胞内における局在を調べた。生組織の採集量に限りがあり、全種について実験することはできず、また組織学的解析においてはウミウシ組織および共生藻の葉緑素による自家蛍光を避ける条件検討に時間を要したが、特異な“ミトゲノム”はRNAとして発現し、核ではなく細胞質内に局在していることが確認され、偽遺伝子である可能性はかなり低いことが証明できた。 ヘテロプラスミーの検証は、上記の解析に時間を要し、遺伝型確認以外の分子生物学的な検証を行うことができなかった。しかし、日本国内に生息する3種のムカデミノウミウシを同時に採集できた際に、別種間での捕食実験を行い、少なくとも成体同士では互いを捕食しないことが観察された。本研究とは別に着手していた、別上科のウミウシ属の解析においても、1個体から複数のミトコンドリア遺伝子様塩基配列が得られた。このことも併せて、ヘテロプラスミーおよび一部分類群のミトゲノムに生じている加速進化は、現世ウミウシ間の捕食に起因する可能性は低く、その起源は科・属といった低次分類群ではなく、それよりも高次の分類群が分岐した時期に遡るものと考えられた。
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