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2016 Fiscal Year Research-status Report

シロアリ腸内原生生物の細胞内共生スピロヘータ細菌のゲノム動態と種分化

Research Project

Project/Area Number 16K14797
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

大熊 盛也  国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 室長 (10270597)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 野田 悟子  山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80342830)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords細胞内共生 / ゲノム動態 / 種分化 / 進化
Outline of Annual Research Achievements

シロアリ腸内のセルロース分解性のEucomonympha属原生生物の細胞内共生スピロヘータ細菌のゲノム動態を解析するため、原生生物の1細胞内の複数の共生細菌のゲノム解読をめざす。このために、1細胞の原生生物をマイクロマニピュレータ装置によって分取して、セルソータ装置を用いて細胞内共生細菌をシングルセルに分離・分取することに成功した。4つの原生生物細胞からそれぞれ数細胞から十数細胞程度の細胞内共生細菌のシングルセルゲノム増幅産物を得て、16S rRNA遺伝子配列で確認後、ゲノム概要配列の解読に着手した。
また、細胞内共生スピロヘータ細菌の種分化を検討するため、オオシロアリ腸内の3種のEucomonympha属原生生物、ヤマトシロアリ等5種のシロアリ腸内から細胞内共生スピロヘータ細菌を有するTeranympha属の原生生物をそれぞれ1種ずつ、1細胞に分離・分取した。分取した1細胞を用いて全ゲノム増幅後に、原生生物と細胞内共生細菌のrRNA遺伝子配列に基づく分子系統を解析した。細胞内共生細菌は、16S rRNA遺伝子に加えてgyrB遺伝子配列もPCR産物のクローン解析に供した。1細胞の原生生物からは、ほぼ同一の共生細菌の遺伝子配列が得られ、原生生物1細胞に共生するスピロヘータ細菌がきわめて均一な系統からなる集団であることが明らかにされた。各シロアリ腸内に1種のみが生息すると考えられているTeranympha属原生生物の系統関係は、宿主シロアリの系統および細胞内共生細菌の系統関係と有意に一致しており、3者が共種分化してきたものであることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1細胞のEucomonympha属原生生物から細胞内共生スピロヘータ細菌細胞をシングルセルに分取することに成功し、全ゲノム増幅産物を確認して、ゲノム解析の準備が整った。解読ゲノム情報の詳細な解析までには至らなかったが、複数細胞の原生生物からそれぞれ複数の共生細菌のシングルセルゲノムDNAも準備することができ、ほぼ計画どおりに進めることができた。また、細胞内共生スピロヘータ細菌の原生生物1細胞内での系統多様性については、クローン解析でのレベルではあるが、これまで調べた限り、単一種からなることを明らかにできた。Teranympha属原生生物については、宿主シロアリも含めた3者間で共種分化の可能性を示すことができ、計画以上の成果となった。

Strategy for Future Research Activity

原生生物1細胞内の共生スピロヘータ細菌について、シングルセルで解読したゲノム配列情報を精査することで、原生生物1細胞内での共生細菌のゲノム動態や原生生物細胞間での共生細菌ゲノムの比較を行う。細胞内共生スピロヘータ細菌に近縁な細胞表層共生スピロヘータ細菌についても、シングルセルゲノム解析を進めており、それぞれゲノム上のトランスポゾン等の可動性因子を中心にゲノム動態について解析する。
細胞内共生スピロヘータ細菌の種分化について、現在、オオシロアリ腸内の複数種のEucomonympha属原生生物1細胞から共生細菌の遺伝子配列を取得・解析を実施している。Teranympha属とは異なり、1種のオオシロアリに少なくとも3種のEucomonympha属原生生物が共存しており、必ずしも共種分化した関係でない可能性を示す結果が得られつつあり、精査して細胞内共生細菌の種分化について考察をする。蛍光オリゴヌクレオチドプローブによるin situでの細胞内共生細菌細胞の検出も試みて、細胞形態や細胞内での局在・細胞数などの微生物生態学的データの取得も試みる。

Causes of Carryover

原生生物1細胞内の共生スピロヘータ細菌のゲノム動態を解析するために、多数のシングルセルゲノムシーケンスが必要で、Miseqシーケンサーのようなショートリードを多数解析する方法を予定していた。シングルセルからのゲノム解析に、PacBioシーケンサーのようなリード数は少ないがロングリードでの解析が可能な方法が良いかの検討に時間がかかってしまった。今年度、複数の原生生物細胞から共生細菌のシングルセルからの全ゲノム増幅DNAを調整することができたので、次年度にゲノムシーケンスを実施する予定である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記理由に記したように、多数の細胞内共生スピロヘータ細菌のシングルセルゲノムシーケンスを実施する。シングルセルゲノム解析においては、微量のシングルセルゲノムの全ゲノム増幅DNAを解読するので、全ゲノム増幅初期段階で必ずしも相当に長いDNA断片が増幅されるとは限らず、PacBioでのロングリード解析の効果は限られたものである結果が得られている。一方で、ゲノム上に反復配列が多く、ゲノム配列アセンブリーが困難な場合には、Miseqシーケンサーでペアードエンドシーケンスに加えて、メイトペアシーケンスが有効と考えられ、これも合わせて実施することとしている。

  • Research Products

    (5 results)

All 2016

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] シロアリ腸内原生生物の細胞表面に共生するTreponema 属細菌3種のシングルセルゲノム解析2016

    • Author(s)
      雪 真弘、桑原宏和、本郷裕一、大熊盛也
    • Organizer
      日本微生物生態学会第31回大会
    • Place of Presentation
      横須賀文化会館(神奈川県・横須賀市)
    • Year and Date
      2016-10-23 – 2016-10-25
  • [Presentation] 長期に隔離された共生微生物群集では群集レベルの競争が生じるか?2016

    • Author(s)
      北出 理、佐藤 渚、野田悟子、飯田敏也、大熊盛也
    • Organizer
      日本微生物生態学会第31回大会
    • Place of Presentation
      横須賀文化会館(神奈川県・横須賀市)
    • Year and Date
      2016-10-23 – 2016-10-25
  • [Presentation] Teranympha 属原生生物と宿主シロアリの共種分化2016

    • Author(s)
      清水大地、北出 理、雪 真弘、大熊盛也、野田悟子
    • Organizer
      第49回日本原生生物学会大会
    • Place of Presentation
      岡山大学(岡山県・岡山市)
    • Year and Date
      2016-10-10 – 2016-10-10
  • [Presentation] バイオマスの循環を支えるシロアリの多重共生系2016

    • Author(s)
      野田悟子、雪真弘、大熊盛也
    • Organizer
      日本水環境学会シンポジウム
    • Place of Presentation
      秋田県立大学(秋田県・秋田市)
    • Year and Date
      2016-09-14 – 2016-09-14
  • [Presentation] シロアリ腸内の難培養性細菌のシングルセルゲノム解析2016

    • Author(s)
      大熊盛也、雪 真弘、David Starns、桑原宏和、本郷裕一
    • Organizer
      日本微生物資源学会第23回大会
    • Place of Presentation
      千葉大学(千葉県・千葉市)
    • Year and Date
      2016-07-05 – 2016-07-05

URL: 

Published: 2018-01-16  

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