2016 Fiscal Year Research-status Report
米アレルギー症状を緩和するイネの新たな機能性の遺伝的解剖
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16K14825
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
加藤 清明 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60271748)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / イネ / 染色体部分置換系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ゆきひかり」、「コシヒカリ」、「きらら397」の各品種の全ゲノムリシーケンス解析(Takanoe et al., 2014)に基づいて、InDelマーカーとCAPSあるいはdCAPSマーカーを作出した(未発表)。当該マーカーを用いて、「コシヒカリ」ならびに「きらら397」を遺伝的背景とした「ゆきひかり」の染色体部分置換系統の作出を進めた。昨年度までに、「ゆきひかり」を一回親として、「コシヒカリ」と「きらら397」をそれぞれ反復親とした連続戻し交配とDNAマーカー選抜を繰り返してきた。本年度は、「コシヒカリ」を戻し交配親に用いたBC3F2の3000個体あまりのDNAマーカー100種の解析を終えた。「きらら397」を戻し交配親に用いたBC3F4世代について1500個体あまりのDNAマーカー100種の解析を終えた。成果として、染色体置換系統予定数全50系統のうち、18系統の染色体部分置換系統を得た。 昨年度までに、「ゆきひかり」と他のイネ品種の米を経口投与して4日目のラットの大腸を摘出し、mRNAを抽出してマイクロアレイ解析を行い、発現遺伝子の差異を解析してきた。「ゆきひかり」特異的に発現変動する遺伝子を選定し、当該遺伝子の発現量を指標としたハイスループットスクリーニング法の開発を進めた。新たに、「ゆきひかり」の給餌後4日のラットの大腸で発現の低下する遺伝子1種を選定し、マーカー遺伝子とした。当該遺伝子の発現量を定量するためのリアルタイムPCR法の条件設定を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象形質の遺伝的解剖に欠かせない植物材料の開発は計画通り順調に進んでいる.一方で、対象形質を評価するハイスループットスクリーニング法の開発のうちマーカー遺伝子の特定が1種にとどまっており、新たに、マーカー遺伝子の選定を必要とする。
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Strategy for Future Research Activity |
マーカー遺伝子を迅速に特定するために、再度、動物実験を終えたラットから摘出してマイナス80度で保存した大腸からRNAを抽出し、RNA-seq法で発現遺伝子を網羅的に解析し、機能性をもつ品種の経口投与群得意的な遺伝子を特定する。植物材料については、これまで通り進める。
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Causes of Carryover |
解析対象としたマーカー遺伝子数が計画よりも下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マーカー遺伝子の解析用のPCR関連試薬類を計上した。
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