2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14831
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石本 政男 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター 畑作物研究領域, ユニット長 (20355134)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御環境 / ダイズミニコアコレクション / 開花期関連遺伝子 / 晩生 / 感光性 / 感温性 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表的な短日植物であるダイズが栽培地域を拡大する過程で獲得した遺伝要因のうち、高緯度への適応に貢献した早生遺伝子が相次いで単離された。一方、晩生や感温性に関わる遺伝要因は圃場環境での解析が困難であり、遺伝解析は進んでいない。そこで、本研究では、まず、栽培環境を制御することで既知の開花期関連遺伝子の機能を無効化し、晩生や感温性の表現型を顕在化させ、遺伝解析を可能にすることを目的とした。 1)光合成光量子束密度の高い植物育成用LED光源を用い、既知の開花期関連遺伝子の影響を受けにくい12時間日長(気温:明期30℃,暗期20℃)で、ホーグランド溶液を用いた水耕栽培により育てることで、迅速に栽培できることがわかった。既知の開花期関連遺伝子座(E1、E2、E3、E4)が全て晩生型のフクユタカは約30日で開花に至った。また、この方法で栽培したダイズには根粒が形成されないが、種子のタンパク質等の成分含量は、圃場栽培のものと大きな差はなかった。 2)ダイズ種内の多様性を少ない系統で幅広くカバーする研究セットである「NIASコアコレクション」を1)で開発した制御環境条件で栽培したところ、短日条件でも晩生となる品種が存在した。これらの品種には、未知の開花期関連遺伝子が存在するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で利用している人工気象室は5m2程度の広さであり、「NIASコアコレクション」を構成するダイズ192品種を一度に評価することはできない。そこで、人工気象室を通年運転することにより、これまでに、各品種2個体の栽培を完了した。ほとんどの品種は32日以内に開花に至った。しかし、12時間日長条件でも開花までに約40日間を要する品種が7つ見つかった。これらの品種では、既知の開花期関連遺伝子座は全て晩生の遺伝子型であった。これら7品種と同じ開花期関連遺伝子型であり、かつ32日以内に開花に至った品種とこれらの品種を交配し、F1種子を得た。一部の組合せについては、世代促進により遺伝解析用のF2種子を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1)制御環境下(12時間日長)で晩生を示す品種と既知の開花期遺伝子について同一な遺伝子型を示す代表的な品種との交配後代から、遺伝解析用の分離集団(F2世代)を育成する。 2)これら短日条件下で晩生を示す品種について、最近、単離同定された開花期関連遺伝子の遺伝子型を明らかにする。 3)育成した遺伝解析用の分離集団を用いて、バルク法により原因遺伝子の単離を進める。 4)日変化のない温度条件(27℃、12時間日長)で「NIASコアコレクション」を栽培し、気温による開花まで日数の変化を調査する。
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