2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14833
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松尾 幸毅 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10358012)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RNAサイレンシング / 物質生産 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、遺伝子サイレンシング関連遺伝子に対するノックアウト植物体を得るため、タバコの一種であり本研究のモデル植物である、Nicotiana benthamianaの形質転換をアグロバクテリウム法により実施した。N. benthamianaにおいてゲノム編集を実施するため、Cas9タンパク質発現カセットと遺伝子サイレンシング関連遺伝子中の標的配列に対するガイドRNAを発現するカセットを、植物形質転換用バイナリーベクター上にそれぞれ構築した。本ベクターをAgrobacterium tumefacienceへと導入し、植物ゲノム編集用のアグロバクテリウムを得た。本アグロバクテリウムを用いて、N. benthamianaの形質転換を実施した。 形質転換の結果得られた再分化個体葉試料よりゲノムDNAを抽出後、標的周辺DNA配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。増幅した標的配列のシーケンス解析を実施した結果、複数の再分化個体中の標的配列において塩基の挿入もしくは欠失が認められた。このことから、再分化個体中においてCas9タンパク質とガイドRNAが機能し、標的配列に対するゲノム編集が行われていることが明らかとなった。ただし、塩基の挿入もしくは欠失されたゲノムDNAを有する細胞と有さない細胞とが、再分化個体中にモザイク状に存在していると推定されたため、再分化個体より種を採取し、次世代(T1世代)における変異導入状況を解析した。その結果、標的とした遺伝子サイレンシング関連遺伝子に変異が導入されたT1植物体が獲得されたことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
N. benthamianaは複2倍体植物であることから、1種類のタンパク質に対してDNA配列が異なる2種類の遺伝子配列を有する。従って、1種類のタンパク質遺伝子をゲノム編集する場合でも、実質的に2種類の遺伝子配列を標的とする必要がある。これまでに1つの遺伝子サイレンシング関連遺伝子をコードする2種類の遺伝子配列それぞれに同時に変異が導入された植物体の獲得に成功しており、本植物を物質生産への応用研究へと利用することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子サイレンシング関連遺伝子に変異が導入されたT1植物体が獲得可能であることが明らかとなった。今後は本植物体を用いた性状解析や物質生産試験を実施し、野生型植物体との比較検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
少額ではあるが、無理に物品などを購入せず効率的な予算執行をするために翌年度に繰り越すこととした。 翌年度分予算と合わせ、消耗品等の購入に充当する予定である。
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