• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2016 Fiscal Year Research-status Report

イネ葉鞘における塩排除能の分子機構の解明と耐塩性強化法の提案

Research Project

Project/Area Number 16K14836
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

三屋 史朗  名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (70432250)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsイネ / 塩ストレス / 耐塩性 / 葉鞘
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度は、イネ葉鞘における塩分布の定性・定量分析法の確立をおこなった。耐塩性程度の対照的なイネ2品種(IR29およびFL478)を水耕栽培し、水耕液に塩化ナトリウムを添加することによって塩処理を施した。その後葉鞘および葉身の基部、中央部、および先端部を鋭利なカミソリによって切り出し、生のままエネルギー分散型X線分析装置を付属した低真空走査型電子顕微鏡を用いて断面の塩分布を観察した。複数の方法を検討した結果、カミソリで切片を作成後凍結組織切片作製用包埋剤を用いて試料台に載せ、液体窒素で凍結した後クールステージを搭載した低真空走査型電子顕微鏡で検鏡すると、試料の崩壊がやや遅くなることがわかった。また、葉鞘および葉身基部の中央に位置する中央部柔組織において特にK、Cl、Naが多く蓄積することが明らかになった。一方、葉鞘の周縁部における葉緑体の発達した光合成組織および柔組織にはこれらの塩の蓄積は小さかった。したがって周辺部維管束から蒸散流により運ばれた塩は、周縁部に運ばれるのではなく、導管から木部柔細胞に取り込まれ、その後木部柔細胞に隣接した中央部柔組織に輸送されることが予想された。
また、GWASによる葉鞘による塩排除能の品種間差異をもたらす原因遺伝子の同定のため、323品種のイネを水耕栽培し、対照区および塩処理区を設けた。収穫後、地上部から齢の異なる葉を葉鞘および葉身に分けて、乾燥させた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究実施計画当初は、平成28年度ではレーザーマイクロダイセクション法による葉鞘での塩の動態に関わる遺伝子群のトランスクリプトーム解析も行う予定をしていた。このため葉鞘から特に塩の隔離蓄積に関わる組織を選抜する必要があったが、この組織の選抜に計画以上の時間を有した。さらに、GWAS法のためのイネ多品種を用いた栽培は平成30年度実施予定であったが、こちらも計画以上の時間がかかることが分かったため、計画を繰り上げて平成28年度から計画を実施することとなった。以上の理由により、計画よりやや遅れているという区分を選択した。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度では、前年度に引き続きGWASによる葉鞘による塩排除能の品種間差異をもたらす原因遺伝子の同定を行う。前年度収穫したイネ地上部の各部位における塩(Na,K,Cl)イオン濃度を測定するのだが、数千ー1万程度のサンプル数があるため、希釈の不要な抽出法や測定法など、方法の最適化を試みる。また前年度進捗の遅れた、塩の動態に関わる葉鞘内組織からのRNA抽出、およびトランスクリプトーム解析を進める予定である。RNAを抽出する際、葉鞘の中央部柔組織は非常に高濃度の糖、デンプン、塩を蓄積し、これらが抽出を阻害する可能性がある。そのため、SDS-フェノール法やグアニジンを用いた方法など、複数のRNA抽出法を試みる。

Causes of Carryover

前年度、イネ葉鞘による塩排除能に関するゲノムワイドアソシエーション解析を早期に開始する必要があることが判明し、研究計画に先んじてゲノムワイドアソシエーション解析用試料作製を行った。そのため前倒し支払い請求を行った。前年度にはゲノムワイドアソシエーション解析用植物の生育、塩の処理および試料の作製まで終了したが、それまでの工程はすでに保有していた試薬類で行うことができた。試料の解析を行うためには新しく試薬を購入することが必要であるが、そこまで実験が進まなかったため、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

前年度作製したゲノムワイドアソシエーション解析用試料を用いてイオン濃度の解析を行う。具体的には、試料の重量を測定し、酢酸抽出した後、含まれるイオン(ナトリウム、カリウムおよび塩化物イオン)の測定を行う。ゲノムワイドアソシエーション解析用試料はその数が数千と非常に多いため、優先順位の高いサンプル(塩処理を施した上位葉の葉身および葉鞘)から分析を行うことで、実験の効率化を図る。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (1 results)

  • [Int'l Joint Research] 国際イネ研究所(フィリピン)

    • Country Name
      PHILIPPINES
    • Counterpart Institution
      国際イネ研究所
  • [Presentation] コシヒカリを遺伝背景としたノナボクラ染色体断片置換系統群を用いた塩害水田におけるイネの収量維持に関わる形質の探索2016

    • Author(s)
      村上准史, 仲田(狩野)麻奈, 山内章, 三屋史朗
    • Organizer
      日本作物学会第242回講演会
    • Place of Presentation
      滋賀
    • Year and Date
      2016-09-10 – 2016-09-11

URL: 

Published: 2018-01-16   Modified: 2022-02-22  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi