2017 Fiscal Year Research-status Report
TGW6変異体を用いた新規デンプン蓄積制御機構の解明と高温登熟障害対策への応用
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16K14840
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
廣津 直樹 東洋大学, 生命科学部, 教授 (40584389)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | デンプン / 登熟 / ソース能 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インドール酢酸(IAA)-グルコース加水分解酵素をコードするTGW6の機能喪失型変異をもつ準同質遺伝子系統(NIL)を用いて、葉へのデンプン蓄積機構を明らかにし、さらに蓄積したデンプンが、葉鞘や稈を経由して穂へ蓄積される過程を追跡することによりデンプン代謝制御による高温登熟障害軽減を目指すものである。 本年度は、昨年度に開発したオーキシン阻害剤処理系を用いて、阻害剤処理によりデンプン代謝に関与する遺伝子などの発現レベル変化を調べ、阻害剤処理によってもデンプン代謝関連遺伝子の発現が変化することを確認した。このことは、オーキシンがイネの下部葉鞘におけるデンプン蓄積に関与していることを示すものであった。 また、コシヒカリおよびNILの圃場試験を行い、収量調査および栄養成長期・出穂期・登熟期それぞれの生育ステージにおける葉身・葉鞘・稈など部位別のサンプリングを行ない、それらのデンプン含量から、登熟過程におけるデンプンの転流速度を見積もった。その結果、NILにおいて幼穂形成期~出穂期区間に葉鞘から稈へのデンプン転流が増加しており、出穂期~収穫期区間でも稈から穂へのデンプン転流増加が見られた。以上のことから、NILにおいて出穂期までに蓄積したデンプンは、収穫期までに稈を経て穂まで転流されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阻害剤処理によりTGW機能喪失を再現できた。また圃場におけるデンプンの転流について解析を行うなど当初の予定通りに行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
オーキシンとデンプン代謝との関わりについて、さらに解析を進めていく。また、圃場における収量調査、および高温登熟との関係を継続して行う。
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Research Products
(3 results)