2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K14844
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 正章 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (20230104)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物成長促進細菌 / 細胞外多糖 / 合成遺伝子群 / レタス |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは浮遊性水生植物( いわゆるウキクサ) の表層から単離した、<i>Acinetobacter calcoaceticus</i> P23 株がフェノール分解活性を有すると同時に、ウキクサの成長を約2 倍促進する世界初の成長促進細菌であることを発見した[Environ. Sci. Technol. 44: 6470-6474 (2010)]。 さらに、P23 株 が単子葉植物であるウキクサ以外に双子葉植物であるレタスに対してもクロロフィル量を増加することを見出している[特願 2013-150997, J. Biosci. Bioeng. 118: 41-44 (2014)]。本研究課題では、(1) P23株が生産するウキクサ成長促進多糖 PGF-AC23 の構造解析、(2) 合成遺伝子群の限定とその高発現系の開発、(3) PGFAC23 の構造機能相関、(4) 作物への影響評価を計画している。 H28年度においては、(1) P23株を200Lファーメンターで大量培養し、PGF-AC23粗精製物を 0.8g程度得ることができた。次に、トリフルオロ酢酸中で 95℃ 1 hの処理でオリゴ糖および単糖を含む混合物にまで分解できることが分かった。現在、この部分加水分解物を TLCおよび HPLCにて分画精製しており、十分量が得られ次第、質量分析および NMR分析を行い部分化学構造の決定を目指す。(2) PGF-AC23の生産に関わる遺伝子群として向きの異なる5つの遺伝子からなる一つの遺伝子クラスターの必須領域限定と高発現系の開発を試みている。まず、この遺伝子クラスターを両方向で大腸菌用の誘導発現ベクターに組み込み高発現を試みた。その結果、プロモーター直下流の遺伝子産物は SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動のバンドとして確認できたがそれ以外の産物の発現量は低いレベルであった。現在、遺伝子の方向を一方向に揃えた遺伝子クラスターを再構築中であり、構築出来次第発現ベクターへ導入する計画である。一方、5遺伝子のうち4および3遺伝子を含む発現系も順次構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造解析に必要な生産物を取得するまでに時間を要したため部分加水分解物を調製中であるが、間もなく質量分析および NMR分析が開始できる見込みである。生産物合成遺伝子の大量発現もまだポジティブな結果は得られていないが、概ね計画通りに進捗している。一方において、5つの遺伝子群のうち3つでもある程度の生産物が得られる可能性が予備的に示されており、遺伝子発現系構築に向けた新たな知見も別途得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って、(1)~(4) の小課題を推進する。また、(4)については作物生産会社の協力も得て効率的に推進する計画である。
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Causes of Carryover |
構造解析の実験に一部遅れが生じた結果、構造解析に要する費用の大半を繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象物質の精製が完了次第、構造解析実験を開始する。今年8月頃には費消する予定である。
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