2017 Fiscal Year Research-status Report
モモ果実の香気生成の生化学的・分子生物学的メカニズムに関する研究
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16K14847
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菅谷 純子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90302372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬古澤 由彦 筑波大学, 生命環境系, 助教 (90361310)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 果樹 / モモ / 低温保蔵 / 香気成分 / エチレン / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.平成28年度に行ったモモ果実の保蔵における低温とエチレンが香気に及ぼす影響について検討した。最初に、保蔵温度について検討するため、数品種のモモ適熟果を用いて保蔵実験を行い、内生香気を分析した。その結果、低温処理によりリナロールなどのテルペン類量が減少することが明らかになった。また、1-MCP処理により、ヘキサナールなどのC6化合物や、エステル類が減少した。さらに、低温保蔵から室温に移した際の香気の変化を調べたところ、3日間低温保蔵後減少した香気は室温移動2日後には増加することが示唆された。香気生成に関する酵素遺伝子の発現解析を行うため、保蔵後のモモ果肉より全RNAを抽出しcDNAを合成した。定量PCRの条件について検討を行った。 2.異なる品種における香気成分の比較を行い、香気物質の生合成に関連する遺伝子発現を調べたところ、モモの重要な香気であるイオノンが白肉モモで検出され、その合成に関わることが予想されるCCD4遺伝子の発現量が白肉モモで成熟時に増加することが明らかになった。 3.果実成熟に伴う香気の変化とその制御について検討するため、香気成分プロファイルと、香気生合成関連遺伝子の発現を定量PCRにより調べた。香気成分は、ラクトン類やエステル類が、果実の成熟に伴い増加することが示され、ヘキサナールなどのC6アルデヒドなどが減少することがGC-MSにより明らかになった。また、LOX遺伝子の発現が成熟に伴い減少することが示された。これは、LOX酵素により制御されることが報告されているC6アルデヒド量の減少と一致しており、モモ果実の成熟に重要な酵素であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モモ果実からのRNA抽出で時間を要してしまい、定量PCRの一部が完了していないが、ほとんどの実験については、予定通り進み結果が出ている為。
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Strategy for Future Research Activity |
1.低温保蔵した際の香気生成制御遺伝子の発現解析 香気生成制御遺伝子の発現を定量PCRにより解析する。低温とエチレンシグナルがそれぞれどのように香気成分の生成制御に関わるかについて、検討する。 2.果実熟度および栽培管理と香気生成に関する研究 モモの栽培管理条件と香気生成との関連、また、果実熟度と香気生成との関係について香気分析および香気関連酵素遺伝子の発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画していた遺伝子発現解析の実験について、香気分析に時間を要したため、一部の定量PCRによる発現解析が進行途中であり、完了していない。次年度は、それらの発現解析を早急に行う予定である。
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Research Products
(1 results)