2016 Fiscal Year Research-status Report
組織層構造特異的または花芽分化時期特異的な遺伝子発現制御による葉色改変技術の開発
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16K14849
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 栄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80397017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 葉色改変 / 組織特異的プロモーター / RNAi / 葉脈 / フラボノイド / カロテノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子組換え技術により,園芸作物の葉に高い観賞価値を持たせることを目的とし,以下の研究を行った. 1.L1層特異的プロモーターの単離:シロイヌナズナなどの報告をもとに,当初の計画より候補プロモーターを増やし,8つの配列郡をクローニングした.それぞれ2-3Kbpの長さの配列をプロモーターとし,フラボノイド転写調節遺伝子(Atpap1)の発現制御,またはカロテノイド生合成遺伝子(フィトエン不飽和化酵素;NtPDS)のRNAi発現抑制のベクターを構築した. 2.花芽分化時期特異的プロモーターの単離:3kbpのシロイヌナズナ由来のFT遺伝子のプロモーター領域(AtFTp)を単離した.さらに長い配列の単離を試みたが,まだ予想される配列の単離に至っていない.この3kbpのAtFTp配列とAtpap1を結合し発現制御ベクターを構築した. 3.タバコおよびゼラニウムの形質転換体の作成:タバコへ,L1層特異的プロモーターで発現制御したAtpap1を導入したところ,アクアポリンタンパク質関連遺伝子のAtPIP2;1プロモーター(2.5Kbp)およびインドール酢酸変換関連遺伝子のAtIAMT1プロモーター(2.7Kbp)を用いた場合に,葉脈のみが赤色に変化した形質転換体が得られた.また,この2つのプロモーターでNtPDSのRNAi発現抑制を行ったところ,葉脈のみが白色に変化した形質転換体が得られた.NtPDS-RNAiにおいて,一部の個体で葉の周縁が白色のものが得られたが,形質が安定していないため,後代での調査と観察を行う予定である.ゼラニウムへの導入は,現在,進行中である.AtFTpで制御したAtpap1をタバコへ導入したが,これまでのところ,葉色が変化した系統は得られていない.今後は,さらに長い配列の使用を試みる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉脈特異的な配列が複数得られ,赤色または白色の部分的な葉色改変が可能になったため,順調な進捗状況と判断した. 一方,花芽分化時期特異的な葉色改変については,予想どおりに機能するFT遺伝子プロモーター領域を絞り込めていないため,さらに調査を継続する.
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Strategy for Future Research Activity |
FT遺伝子プロモーター領域については,適切に機能する配列の単離をさらに進める.2つの葉脈特異的なプロモーターが得られたので,これらの配列と差分的RNAi制御を組み合わせたベクターを作成し,さらなる葉色改変を目指す.
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Causes of Carryover |
予定より安価な物品が調達できたため,少額の次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度予算と合算し,使用予定.
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