2016 Fiscal Year Research-status Report
ダイコン青変症の発症機構の解明とその抑制法に関する研究
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16K14852
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
寺西 克倫 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20237001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ダイコン / 青変症 / 天然物化学 / 青色色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の品種のダイコンの根内部は、収穫後は正常の白色であるが、約20℃で数日保管すると青色色素を形成する。この生理現象は青変症とよばれ、10年ほど前から報告されるようになった。青変症の発症度は、品種間差以外に栽培条件においても異なり、同一場所での栽培でも年により異なる。青変症は根外部から判断できなく、調理の際に切断し始めて判明するため、消費者からの苦情が販売店に寄せられ、生産農家や流通企業にとっては問題となっている。青変症の発症を抑制することにより生産農家が安心してダイコンを生産できる。本研究の目的は、青変症発症の化学的機構を解明し、発症機構を基にする発症の抑制方法を見出すことにある。これまでの研究において、ダイコン根の青変症は、収穫後の青変症が未発症のダイコン根に過酸化水素水を添加することにより人工的に発症させることが可能であった。この知見を基に青変化を起こす青色色素前駆体の探索を以下の順に行った。①青変症が未発症のダイコン根の濾過液をカラムクロマトグラフィーにより複数の画分に分離した。②すべての画分に過酸化水素水を添加したが青変化は起こらず、複数の画分に存在する複数の成分が青変化に必要であることが判明し、それらの成分は青色色素前駆体とペルオキシダーゼであると判明した。③過酸化水素水とペルオキシダーゼを用いた評価系をを構築し青色色素前駆体の探索を行い、青変化する唯一の成分を見出した。④化学構造を決定するため、HPLC分取により必要量の精製物を得た。⑤この成分は、種々の機器分析により、アブラナ科植物の種、根、スプラウトに一般に含まれている4-hydroxyglucobrassicinであると推定した。⑥この化合物を化学合成し機器分析した結果、ダイコン根より得られた前駆体成分の機器分析データと一致し、前駆体成分は4-hydroxyglucobrassicinであると決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究を行うことができたため
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Strategy for Future Research Activity |
村政当初の計画にある「青変症に及ぼす促進因子と抑制因子の探索」及び「青変症を抑制する栽培条件の検討」を行う。
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