2016 Fiscal Year Research-status Report
種子と果肉の情報伝達機構の解明と高品質果実生産技術の開発
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16K14855
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
板井 章浩 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10252876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 彰 山形大学, 農学部, 准教授 (50442934)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタキセニア / RNA-seq / メタボローム / 果実形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常、種子には花粉親の影響が見られるが、果肉や果皮などの種子親由来の組織では、花粉親の影響がないとされている。しかし、果肉や果皮に花粉親の影響が出ることが報告されており、特にナツメヤシやワタ、ブルーベリーなどでその現象が報告されている。しかし、ナシを含むこれらすべての植物で分子メカニズムは全く解明されていない。今年度は種子親‘ゴールド二十世紀’においても同様の現象を確認すると同時に、分子メカニズムを解明するためにqRT-PCRとRNA-seq解析を用いて遺伝子発現の差を調査した。まず花粉親が果実形質へ及ぼす影響として、 ‘ゴールド二十世紀’に、4品種の花粉を人工授粉した。受粉後、経時的に果径調査およびサンプリングを行い、粉親の違いによる形態的、品質的差異を調査した。また、本研究ではトランスクリプトーム解析およびqRT-PCR解析を用いて、分子メカニズム解明を目的として花粉親の違いによる遺伝子発現の差異を調査した。結果、収穫期の‘ゴールド二十世紀’においては、花粉親の違いによって、 果実サイズの違いで大きくなっているなど、細胞面積、pH、硬度にも差が生じていた。また、一次代謝産物においても花粉親の違いで差が生じていた。 またqRT-PCRによって花粉親の影響下にあると考えられる遺伝子の発現解析の結果、いくつかの遺伝子については受粉後1週目果肉において、 花粉親の違いによって50倍以上の発現量の差がみられるものも存在した。RNA-seq解析を行った結果、それぞれ約1Gb前後のデータを得て、現在バイオインフォマテクス解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現象の確認を異なる場所、品種で確認することができた。またRNA-seq解析を行い、遺伝発現解析の結果も得ており、予定通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seqの解析を進めて行く、また新たにホルモノーム解析を行い、このような網羅的解析から原因究明を進めて行く。研究計画の実施に大きな変更点はない。
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Causes of Carryover |
RNA-seq解析に用いるサンプルの準備が当初予定の数に達せず、年度内に完了できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RNA-seq解析に用いる予定であった昨年度のサンプルについては今年度予約準備が完了し、今年度調整したサンプルも合わせて解析する予定である。
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