2017 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of low pH and aluminum signal transduction based on chemical genetics
Project/Area Number |
16K14870
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 佑理子 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40610952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小郷 尚久 静岡県立大学, 薬学研究院, 講師 (20501307)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アルミニウム / シグナル伝達 / ケミカルスクリーニング / kinase阻害化合物ライブラリー / ホモロジーモデリング / in silicoドッキング / 酸性土壌 / AtALMT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸性土壌での主要なストレスであるアルミニウム(Al)のシグナル伝達はAl耐性遺伝子の発現に重要である。これまでに、Al耐性遺伝子の転写制御へのタンパク質リン酸化を介したシグナル伝達系の関与が示されていた。そこで本研究では、がん研究などで使用される低分子化合物のシロイヌナズナでの標的分子の特定によりAlシグナル伝達分子の同定を行った。本年度はkinase阻害化合物ライブラリーのスクリーニング、ヒット化合物と標的タンパク質の相互作用モデル予測を行った。 その結果、Al応答遺伝子AtALMT1の発現やAtALMT1を介したAl応答性リンゴ酸分泌を阻害する主要なヒット化合物3つを特定した。またそのうち1つはAtALMT1転写因子STOP1の活性抑制にも働いた。さらに、それらの阻害剤はAtALMT1以外にもいくつかのAl応答遺伝子の発現に影響を及ぼした。次に、それら阻害剤のヒトでの既知標的タンパク質と相同性の高いナズナタンパク質をデータベース検索し、それらのシロイヌナズナ遺伝子破壊株における評価を行った。遺伝子破壊株ではWTに比べてわずかながらAtALMT1遺伝子発現の低下が確認された。一方、ホモロジーモデリングによるナズナタンパクのモデリングを行い、その結果、両者のKinaseドメインの立体構造は非常に似通っていることが分かった。次に、その候補タンパクのkinaseドメインと阻害剤のドッキング解析を試みたところ、実際に化合物がナズナタンパクのATP結合部位に結合することが強く示唆された。以上の結果から、Alシグナル伝達を阻害する化合物とナズナ標的タンパク質が同定されたと考えている。
|