2016 Fiscal Year Annual Research Report
Soil-pH adaptivity trade-off in gramineous plants
Project/Area Number |
16K14871
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山地 直樹 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00444646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土壌pH / イネ / オオムギ / ライムギ / アルミニウム / 鉄欠乏 / トランスクリプトーム解析 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ(野生型日本晴、star1 変異体、art1変異体)、オオムギ(品種 はるな二条)、ライムギ(品種 IR5)の合計5系統を水耕栽培し、それぞれ、Alストレス条件(pH 4.5)、通常条件(pH6.0)、鉄欠乏条件(pH7.5)で処理した。各3条件で処理した根からRNAを抽出 (各3反復)し、次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析により、125bpペアエンド約5億リードのデータを取得した。イネに関しては、リードをリファレンスゲノムにマッピングし、標準化したリード数を各処理区間で比較して、Alストレスや鉄欠乏ストレスによる遺伝子発現応答を網羅的に明らかにした。オオムギとライムギについては先ず各処理区のデータをまとめて転写産物のde novoアッセンブルを実施し、続いて各サンプルの遺伝子発現解析をおこなうとともに、遺伝子にアノテーションを付与した。それぞれの植物種、処理条件において発現変動が見られた遺伝子について植物種間で相互に配列を検索し、オーソログ関係が推定される遺伝子について応答性の比較解析を行った。 主な結果としては、イネ、オオムギ、ライムギの3種で共通して低pHアルミニウムストレスに応答する遺伝子はわずかしかなく、オオムギではアルミニウム応答に関わる主要な転写調節因子ART1が欠失していた。高pH鉄欠乏ストレスに対しては3種の応答性は概して共通していたが、いくつかの耐性遺伝子がイネでは失われていた。またイネの主要なアルミニウム耐性遺伝子のいくつかがオオムギ、ライムギにおいて顕著な鉄欠乏応答性を示した。これらの比較トランスクリプトーム解析は、土壌pH適応性の種間差について理解する上で重要な手がかりとなる。
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