2016 Fiscal Year Research-status Report
高温高アルカリ環境で機能する新規微生物酸化還元・電子伝達機能の探索と開発
Project/Area Number |
16K14884
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 順 京都大学, 農学研究科, 教授 (70281102)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻谷 英治 徳島大学, 大学院生物資源産業学研究部, 教授 (10362427)
安藤 晃規 京都大学, 農学研究科, 助教 (10537765)
日比 慎 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (30432347) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 電子伝達 / インジゴ / 藍染め |
Outline of Annual Research Achievements |
藍染めに関与する複合微生物系は、高温・高アルカリ条件下において、電子伝達が関与した酸化反応(有機物の無機化)および還元反応(インジゴの還元)を行うユニークな特性を有している。酸化反応(有機物の無機化)に関して、アルカリ条件において植物組織等の有機物を分解する微生物の取得に成功し、また、アルカリ条件において硝化活性を評価するための複合微生物系モデルを構築した。還元反応(インジゴの還元)に関して、藍染めの染色液やすくも、乾燥葉などを菌の分離源とし、炭酸ナトリウムでpH10に調整した標準寒天培地を用いて28℃、嫌気条件下で培養し、154株の微生物を単離した。単離した微生物について、0.03%インジゴを含むアルカリ標準培地で3日間培養を行い、インジゴ還元能を評価した。評価方法としては、遠心後の培養液上清に溶けているロイコインジゴを空気に晒すことでインジゴへ酸化し、600 nmの吸光度を測定することでインジゴ還元能を定量的に評価した。その結果、インジゴ還元能の高い10株の菌株の所得に成功した。最もインジゴ還元能の高いSH2-1株について、16S rRNA解析を行ったところ、Alkalibacterium pelagiumとの99%の相同性が見いだされた。さらに、得られたインジゴ還元菌についてインジゴ還元の条件検討を行ったところ、グルコースやフルクトースがインジゴ還元に有効であることを明らかにした。また、インジゴの還元はメディエーターを介さない直接還元である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルカリ条件下でインジゴを効率的に還元する微生物を取得し、効率的にインジゴを還元する菌株を選抜した。また、それらの電極への電子伝達能力についても評価した。また、アルカリ条件において植物組織等の有機物を分解する微生物群を取得にも成功している。さらに、アルカリ条件において硝化活性を評価するための複合微生物系モデルを構築しており、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
有機物無機化微生物群を探索・選抜し、これらを用いて、高温高アルカリで機能する酸化酵素群(脱水素酵素やラッカーゼ等)を取得する。ジクロロインドフェノール(DCIP)等を用いて酸化能力を検討していく。すくも作り由来のアンモニア酸化菌、亜硝酸酸化菌を含む有機物無機化微生物群を用いて、高温高アルカリ下で機能する硝化プロセスを構築する。申請者らがすでに構築している硝化プロセスと比較することで高温高アルカリ硝化プロセスの特徴を明らかにする。 細胞外電子伝達能力が高い菌株に対して、サイクリックボルタンメトリーによる細胞表面シトクロムの詳細な解析を行う。さらに、得られた菌株の最適な培養条件や反応条件を検討し、得られた菌株をアノードへ利用した高温高アルカリ下で機能する微生物燃料電池の作成を試みる。
|
Research Products
(2 results)